(出所) 国連工業製品統計
スペインは、従来から大幅な貿易赤字をほぼ同額の観光収入で補填し、経常ベースでは若干黒字という国際収支構造を続けていた。
しかし、88年以降貿易収支が一段と悪化する一方、観光収入が伸び悩みをみせ、経常ベースでも赤字を記録するに至った。
ただし、EC統合を控え、投資環境の良好なスペインに対して外資の導入が活発化し、これによる長期資本収入の大幅な黒字が経常赤字を埋めるのみでなく、外貨準備高を徐々に積み上げる状況になっており、95年以降経常収支は黒字に転じ、外貨準備高も97年には684億ドルに達している。
97年の貿易は、輸出がペセタ安(1ドル=146.4ペセタ)、高付加価値製品への移行、輸出促進策「プラン2000」による輸出企業の拡大などを反映して18%増、輸入は自動車、船舶、建設機械等の伸びが顕著で18%増を記録している。
地域的には、EU向けが輸出で70%、輸入で65%を占めたが、近年、東欧、中南米などの比重が高まり、特にブラジル、メキシコ向け輸出の伸びが顕著であり、輸入も同様な傾向で貿易相手国の多様化が進んでいる。
98年も内需拡大を背景に輸入が顕著に伸びている。
主要品目は、輸出が自動車、石油製品、果物など、輸入が自動車、石油・同製品などである。
対日貿易は、恒常的な赤字貿易である。