(3) 造船事情
オランダの造船業は、同国の誇る伝統産業の一つであるが、石油危機以降の造船不況により、大幅な人員削減、過剰設備の廃棄、企業の再編成などを中心とする構造改善を余儀なくされ、その結果、造船能力は大幅に削減された。
オランダの船舶建造量は、年々微増しているものの98年実績は96隻、291千G/Tであり、世界建造量の1%強に過ぎない。
オランダ造船業は、コスト削減などの経営努力を続けているが、他の欧州先進諸国と同様に、建造補助金制度、税制優遇措置、延払いに対する利子補給制度など政府の各種助成策に大きく依存している。
なお、オランダ造船業は、技術的には高度の水準にあり、特殊船など特殊な分野の船舶建造では優れた国際競争力を持ち、数多くの実績を残している。
さらに、造船設備にも斬新なものを導入しているが、平成10年度に実施した(社)日本中型造船工業会の欧州造船事情調査においては、同国のYVC Ysselwerf B.V.、Royal ScheldeCopany、Wilton - Fijenoord、Frisian Shipyard Welgelgen B.V.社等を訪して各社のカバード･ドックを調査し、カバード･ドックの計画概要書を作成している。
