(出所) ロイド統計
(B) 海運事情と保有船主の実態
英国商船隊の衰退は著しく、ピーク時の1975年当時の13%程度の海運力となっている。
これは、景気低迷に伴う荷動きの減少による海運業の大幅な規模縮小、コスト高の英国籍船から便宜置籍への大量の移行、代替建造の激減などによるものである。
便宜置籍船は、英本土からマン島など英国自治区、バーミュダ・ケイマン諸島、ジブラルタルなどの英国自治領への移籍が著しい。
世界的景気低迷による荷動きの減少に伴い、他国海運業界からの厳しい価格競争により、ドライ・バルク市場から大きく後退し、また世界的なタンカー市場の低迷のため、現在ではコンテナ船、RO/RO船などの分野に活路を見出している。
海運会社の多くは、不定期船の低迷の影響を大きく受けて赤字経営に陥っており、大規模な設備投資、事業拡張が可能なのは、海運業以外の分野で多角的に事業を行い、その利益を海運業に回すことのできるものに限られている。
なお、英国政府は海運業に対する助成を削減し、自由競争の促進に努めているが、一方、英国海運業界では大手海運グループによる市場の独占化が進んでいる。