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メキシコ

 

メキシコの造船業

 

メキシコ造船業の今日の現実は歴史的経緯を反映している。当初、造船業は海軍の艦艇の修繕・建造需要に応えるために発足した。1950年代には漁業開発という新たな目的が加わり、その後、貿易・輸送用に一層大型の船舶の建造が要請されるようになった。

民間造船所

Talleres Navales del Golfo(旧Astilleros Unidos de Veracruz)は主として新造と修繕に携わり、国内最大の労働力と最高水準の設備を擁している。多様な船舶の建造が可能であるが、主に45,000TPM型船を集中的に建造している。長さ271m、幅36m、100tクレーンを4基装備した建造ドックと、長さ225m、幅20m、16tクレーンを2基装備したプラットホーム各1基を保有している。

さらに同社は157.7m×19.55m、25tクレーン2基を備えた乾ドック1基と、全長それぞれ220mと225m、15tクレーン各1基を備えた修繕岸壁と予備岸壁を保有している。この他にもIndustria Naval de Mazatlan、Industria Naval del Pacifico(ソノーラ州グアイマス)、Industria Naval del California(バハ・カリフォルニア州エンセナーダ)などの中型造船所がある。

海軍工廠

海軍省は政府から、軍用艦船の修繕、建造一切について権限を付託されていて、その他にも能力に余裕があれば、官民の需要に対応することになっている。

新造、修繕、保守管理を行う海軍工廠は以下の通り。

大規模:太平洋岸オアハカ州サンタ・クルースのAstimar-20工廠。これは国有造船所の中でも最有力のもので、201m×21mの乾ドック1基、能力2,500トンのリフトを備えた100m、20mのシンクロリフトを保有している。平均雇用人員は1,200名。どんな新造・修繕需要にも対応することができる。

中規模:タマウリパス州タンピコのAstlmar-1工廠。収容能力125m×15mの3,500トン浮きドック1基の他、ブロック用の浮きドックも5基もあり、それぞれの能力は250トン、12m、14mとなっている。さらに1,200トン級の船舶に対応可能な横移動用の台車を備えたプラットホーム設備もある。

小規模:ベラクルス州コアツアコアルコスのAstimar-3、ソノーラ州グアイマスのAstimar-6、ゲレロ州アカプルコのAstimar-8の各工廠。その他にもマンサニーヨ、ベラクルス・フロンテーラ・シウダー・デル・カルメン、チェツマルにも修繕・保守管理センターが設置されている。

最近官営の造船所では、老朽船の代替建造の他、新鋭「アステック型」哨戒艇や漁業調査船、マグロ漁船、ホルツィンガーおよびセンテナリオ型コルベット間の新規需要に対応する新造船が活発化している。

発展の展望

メキシコの造船業は、地政学的に有利な位置、域内でも最もコスト競争力の高い専門労働力、整備されたインフラ、北米自由貿易協定による特典などのために、絶好の投資機会を提供するものである。

 

 

 

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