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タイ

 

タイ造船産業─自給自足経済への歩み

 

1. 序論

過去10年間、タイは年率8.0-9.0%の高度経済成長を続け、これに伴なって国際貿易も高い伸びを示した。タイ・バーツの急落が導火線となったアジア経済のハリケーンに端を発し、タイ経済は1997年に危機に見舞われた。この経済危機はアジア太平洋諸国の造船産業の経営環境に重大な影響を及ぼした。

その結果、タイの造船業界は多くの問題の解決を迫られている。例えば競争力強化のための合理化、生産コストの上昇、設備能力と労働力の削減などの問題に直面し、業界は現在、徹底的な構造改革の断行を余儀なくされている。

最近タイ経済には一応、回復の兆しが見えてきた。通貨・財政政策も次第にゆるめられている。金利も低い。さらに法的枠組みと市場構造の面でも改革が進行している。企業のリストラも、期待通りの進捗を示してはいないまでも、重点的に進められている。タイ国王陛下のご推奨による「自給自足経済」という経済理念に基づいて、国内の能力に見合った適切な開発プロジェクトを慎重に選んで、持続可能かつ自給自足の経済システムの建設に力点が置かれている。造船産業の戦略は、ニッチ市場に的を絞ったものである。

2. 造船業の概観

タイの造船業の生産高は(直接、間接を合わせて*)約1,600億バーツに達している。

1998年の総生産高

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*直接生産高32億3,500万バーツと間接生産高1,596億1,300万バーツの合計。

 

新造船・修繕船の雇用創出効果

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