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シンガポール

 

シンガポールの海事産業

 

1. 序論

シンガポールの海事産業は1960年代の発足以来、めざましい成長を遂げた。現在380万dwtの入渠能力を擁するシンガポールは、修繕船、改造船、新造船、石油掘削リグ建造、強力な関連工業など、あらゆる面で世界有数の海事産業の中心地となっている。この業界が提供するサービスと設備は、東西の航路の交差点に戦略的に位置する、海運・造船の主要な中心地としてのシンガポールの地位を高めるものである。

2. 業界の実績

海事産業の1998年の生産高は38億シンガポール・ドルに達した。これはシンガポールの製造業の総生産高の約3%に相当する。付属資料1に過去5年間の業界生産高の成長ぶりを示す。海事産業の1998年の雇用人員は28,000名を数え、前年比9%の伸びを示した。

修繕船事業は引き続き海事産業の成長の推進力となり、98年も業界の総生産量に約57%のシェアを占めた。シンガポールの海事産業各部門の寄与率を付属資料2に示す。

2.1 修繕船

シンガポール海事産業の主柱である修繕船事業は、1998年には前年比26%の伸びを示した。98年にもシンガポールで修繕を受けた船舶の数は増加している。シンガポール海事港湾局がまとめた統計によると、合計2,844,000総トンの船舶が修繕のためにシンガポールに来航した。

シンガポールの造船所は、高付加価値の修繕船と改造船市場に、その比重を移してきている。FPSOおよびFSOの大規模改造工事数件が1998年に完了した。

2.2 新造船

主柱である修繕船事業を補完するために、シンガポールの各造船所は新造船の分野にも進出している。わが国の造船所は特化した小型船建造部門というニッチ市場に強力な地歩を築いた。

1998年のシンガポール造船産業の進水隻数は97隻、総トン数は129,497トンで、前年の130隻、241,096GTより後退した。タグ、補給船、バージのような作業船が98年の進水船の約60%を占めた。その他、特筆すべき引渡し実績としては、一般貨物船、撒積船、コンテナ船、プロダクト・タンカー、シンガポール共和国海軍向けの上陸用舟艇用タンク、高速アルミ製フェリーなどがある。98年にはまた、シンガポール造船所が自社設計で建造した船舶としては最大の30,000DWT浅喫水プロダクト・タンカーが進水した。

 

 

 

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