日本財団 図書館


2.4 海洋変動と台風の関係

 

2.3節で述べた台風の発生発達の変動が、何によって決定づけられるかは大変興味深い。しかしながら未だ明確な解答は得られていない現状である。ここでは、その問題の解決の鍵を握ると考えられる海上気象データを整理した。海上気象のデータとしては、船舶海上気象データセット(COADS: Comprehensive Ocean-Atmosphere Data Set)を用いた。中心風速が17.2m/s以上という台風の定義に基づいた統計は1951年以降ということもあり、今回デジタル化を進めているKoMMeDS-NFのデータは用いないが、速水他(1968)や大内(1970)に代表される20世紀前半における台風活動の変動の解析を行う場合には、北太平洋西部に多くの通報データを持つKoMMeDS-NFは有効なデータセットであると言える。

まず、台風の発生しやすい海域の海洋気候環境を把握するために、図2.4〜図2.6に太平洋赤道域における海面水温、海面気圧、風向風速についての季節別平年値を示した。各図中には台風の発生位置を併せてプロットした。統計値は1961年〜1990年の30年平均値であり、台風については北太平洋西部において発生したものに限り、統計期間1951年〜1998年のデータを用いた。図2.4より、年間を通じて、海面水温が28℃以上の海域において多く台風が発生している。統計的に見ても、28℃以上の海域における発生率は大きく、28℃未満の海域においては水温が1℃低くなるとともに台風の発生率は1/3程度ずつ低くなる(藤井、1992)。また、図2.5および図2.6より、台風の発生数が多い夏季と秋季においては、北太平洋西部熱帯域に収束帯が形成されている。反対に、台風の発生数が少ない春季と冬季には、収束帯は赤道付近かそれよりもやや南半球よりに存在している。夏季や秋季における北太平洋西部には、太平洋高気圧からの東よりの風(北東貿易風)と南半球から赤道を越えてやってくる南西季節風や南東貿易風がぶつかる熱帯収束帯が形成され、台風の発生しやすい海域となっている(山岬、1982)。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION