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Chan and Shi(1996)が述べたとおり、台風の発生数は1950年代に少なく、1960年代〜1970年代前半は多い、1970年代後半〜1980年代前半は再び少なく、1980年代後半から1990年代前半にかけて多くなっていることがおおよその傾向である。季節別には北半球の夏季・秋季にそれぞれ平均で11〜12個程度発生しており、1年間の85%程度の台風がこの時期に発生していることがわかる。海面気圧が950hPa以下の発達した台風は、おおよその傾向として発生数の多い1960年代や1980年代後半〜1990年代前半に多い。しかしながら、1990年代は1960年代に比較して台風の発生数が少ないにも関わらず、950hPa以下に発達した台風が多い。また、900hPa以下に発達した台風は次第に少なくなっている傾向にある。これに関しては、1940年代〜1960年代にかけて強い台風の観測値にやや強めの観測誤差が存在すると言われており(Landsea、1993)、その信頼性は乏しい。しかしながら、少なくとも1970年代〜1980年代と比較して、1990年代に900hPa以下に発達した台風が少ないことは事実である。

図2.2には台風の発生位置をプロットした。おおよそ北緯5〜25°、東経110°〜160°に囲まれた帯状海域で台風の発生密度が高いことがわかる。また、図2.3には海面気圧が950hPa以下に発達した台風に限り、初めて中心気圧がその台風の生涯における最低値を記録した位置をプロットした。北緯10〜25°、東経120°〜150°に囲まれた帯状海域で多くの台風が最低気圧を記録しており、台風の発達する位置は発生位置よりもやや北側であることがわかる。表2.2には各年の発生数および950hPa以下に発達した台風に関して、その発生・発達位置に着目した統計表を示す。ここで、950hPa以下に発達した台風の位置として、海面気圧が初めてその生涯の最低値を記録した位置とした。また、各項目の期間中の平年値+σ/2(σ:標準偏差)を越える発生数の場合には、当該覧にハッチを施した。

平均的には東経140°以西(以下、西部海域)は年間15個、それより東(以下、東部海域)では12個程度の台風が発生している。1960年代〜1970年代においては西部海域では発生数が多い傾向にあり、1980年代〜1990年代には反対に東部海域にて発生数が多い傾向にある。950hPa以下に発達した台風に関しては、西部海域では年代を通じて6個/年程度であり、その標準偏差も1.7個と年々のばらつきは小さいが、東部海域では個数2〜3個と少ないにも関わらず、その標準偏差が1.9個であり、年々のばらつきが大きいことがわかる。

以上に簡単に述べた台風の発生・発達の変動傾向は、2.2節で述べたGrayの必要条件に揚げられる大気、海洋環境の変動に起因していると考えられる。次節では船舶海上気象データを用いて台風発生域周辺の大気・海洋環境の変動を統計整理し、その特徴を示した。

 

 

 

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