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学術上、分野間距離をどのようにとるかについて議論はまだ落着いてはいない(前項a)が、上述のようなグローブ間の共通項の存在数を、グローブを形成する大きな分野間距離のインデックスと解することは可能である。

本事業について、コンピュータ・グラフィックスを活用し、そのような連結糸をもった球の融合を可視化することに成功したので、分野間距離問題の展開に貢献できると思われる。無数に散開するグローブ間でそうした“引力”型連結糸を張ることにより、分野グローブ間の相互の大局的な近さをより理解し易くなり、分野宇宙〜学問世界の構造理解に役立たせることができる。このような可視化は、教育の場において果たす役割が大きいものと見られる。

 

3-1-7 シナプスをはらないモデルの効用

シナプスは、分野点あるいは(事)項目点相互の関連性を示す意味付けの連結糸であるから、点群内の数が大きくなったり、関連が多岐にわたるような場合、グラフィカルには繁雑を極め、当初の目的を達成し得ない情況となる。そこで、シナプスの数を制限したり、全く省略するケースについて考えてみる。

 

a 点群表現のメリットとデメリット

本来、分野あるいは項目を代表する点はそれなりの独立点であり内容が明確にされている。したがって、ラベルを貼ることができ、グラフィカルに理解し易くなる。

ところが、点群の密度が高くなると、相互の関連を示すシナプスの分布が極めて密となり、目視ではその両端を占めるペア点を特定することが不可能となる。このような欠陥を排し、逆にメリット化する捉え方が必要となる。

最初に、ある特定の1点からのシナプス束を示すことができれば、それはその特定する点が持つ内容の豊かさを表わすことになるから、1点から派出するシナプス数は、ある意味でその点の重み付けのインデックスと考えてよく、データ・べース・事項の一つに加えることができる。

次は、1本のシナプスで互いに結ばれる2点とその先を考えると、一種の分岐ダイヤグラムが、おそらく無限に広がることになる。このような事態は、ほぼ全ての点について起こり得るのであり、森羅万象相互の関連性を示唆するものとして抽象的にも是認されよう。

ある限定された分岐点までをデータベースとして所有すれば、ある点のもつ関連性の広がりの大略が一義的に可視化され、便利である。逆にこのパターンをたどれば、一つの有益な検索機能が示されていることになり意義深い。

 

 

 

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