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これを仮りに一次、二次の分化ということは可能である。もちろん、これ以降が常に等価で対応するジャンルになるというわけではない。全く別の要件が加わり、対等に並べられない分野となることもごく普通の分化プロセスである。科学分野の階層性には全く別の切り口から生じるものもある。例えば基礎と応用、主題と関連あるいは周辺というカテゴリー化を持ち込む場合である。分野の配置をグローブにとれば、中心寄りに基礎や主題、外側寄りに応用や関連・周辺をとることが可能であり、その構造は一種の層状〜成層構造となる。単純な場合は外層と内層あるいはクラスト(外殻)と核ということになる。

外殻ほどにしっかり性格づけできない場合もあろう。そのようなケースでは、外側に敢えて枠をつくる必要もなく、一つの球状体(グローブ)にいくつか性格の異なった衛星(サテライト)分野が分布する構造と考えることが可能である。

直接に様々な程度で関連している分野点を結ぶ直線をここでシナプスと呼ぶことにしよう。したがってシナプスは原理的には分野間距離を表わすということになる。しかし、「Science Mapsの方法論(3-1-3)」で藤垣氏が指摘しているように、今のところ分野地図上での分野間距離を客観的かつ便利に示す方策はない。

具体的にはある分野点Aと分野点Bを結ぶと、その間に共通するなにがしかの性質に一種のスペクトルが存在する、と考えてよい。定性的にこれを色のグラデーションで視覚的に表示することは、あながち無意味ではあるまい。例えば人文的要素と自然的要素のそれぞれの割合いとしてどちらかに極を持つと見ることができ、象限の性質と関連させて色付けをすることが可能であろう。

将来AB2分野間の間に位置する新分野が開拓されるならば、その分野点χを中間に配置して、A、B側に新たなシナプスを張ることができよう。

一般的にシナプスを考えると、互いに結ばれる点同士の距離はこの際全く分野間距離を表わすものではないことを見ておく必要がある。大分野間に1本のシナプスが張られても、その大分野間には別ルートでいくつもの分野点を経由しながら関連することもままあり、究極的に定量化をしていない処置と考えねばならないことは自明である。

 

 

 

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