たてもん祭(まつ)り
富山県魚津市
出演/魚津たてもん保存会
国選択無形民俗文化財
魚津市諏訪神社の祭礼(八月上旬)に約三百年前から伝承されてきた、海難防災や豊漁祈願を目的に行われる行事です。たてもんとは提灯等で飾られた、高さ約十五メートル、重さ約三・五トンという大型の作り物で、そり型の台と芯木を基礎の構造とし、提灯と行灯で満帆の三角形に飾り付けられ、夕刻に点灯の上、浜や諏訪神社の神前で曳き回されます。七基のたてもん本体は、県指定の有形民俗文化財となっています。

洲本民踊(すもとみんよう)おまあや
兵庫県洲本市
出演/おまあや復興会

「おまあや」とは、淡路の方言で、「おまえさん」という呼びかけの言葉です。江戸時代後期に洲本の町で歌われた民謡をアレンジして、振りつけられた踊りで、民謡は「ホンマのことかいなあ、ウソウソ」という独特のオチでしめくくります。踊りでは、踊り手が持つ庶民の生活用具、渋うちわがパンパンと心地よく鳴り響き、おしゃれで賑やかな雰囲気を盛り上げています。
お燈祭(とうまつり)
和歌山県新宮市
出演/熊野速玉大社神倉奉賛会
県指定無形民俗文化財
熊野速玉大社の攝社・神倉神社で二月六日夜に行われる例大祭。白装束に荒縄を締め、火のついていない松明を手に「上り子」と呼ばれる男たちが、五百三十八の急な石段を駆け登ります。やがて神殿で松明に火が点され、上り子たちが一気に石段を駆け下りると、長い石段は「火の竜、下り竜」と化し、勇壮な男の火祭りは最高潮に達します。

キリコ
石川県輪島市
出演/輪島市観光協会

キリコとは、厄払いや豊作豊漁を祈願して、神輿にお供する縦型長方形の大きな御神灯のことで、能登一円の祭りには欠かせない祭礼具です。祭りでは、このキリコ数十本と提灯が氏子衆によって担がれ、神輿のお供をして町内を練り歩きます。お供する人は、この日すべての厄を払い落とし、新しい神様が誕生する生命力を授かると言われています。
嵯峨谷(さがたに)の神踊(こおどり)
和歌山県伊都郡高野口町
出演/嵯峨谷の神踊保存会
県指定無形民俗文化財
国最古の若宮八幡宮と言われる嵯峨谷の若宮八幡宮に、室町時代から伝承されているという神踊。清浄な衣装をつけ、太鼓を打ち鳴らし、古風な歌唱に合わせて踊りながら、五穀豊穣、家内安全を祈る素朴な踊りです。花園村梁瀬の御田の舞、仏の舞やかつらぎ町天野に伝わる六斎念仏などとともに、県の無形民族文化財に指定されています。

大窪(おおくぼ)の笠踊(かさおど)り
和歌山県海草郡下津町
出演/大窪の笠踊り保存会
県指定無形民俗文化財

大窪の笠踊りは、わずかの水田とみかん栽培が主体の小さな農村に伝わる雨乞い踊りです。氏神様の境内の広場に、新発意という口上役の先導で大人も子供もすべての氏子が踊り手となり、太鼓と鉦の囃子をもとに歌い手を中心に輪になって踊ります。古式ゆかしい歌の文句、悠長な節まわし、ゆるやかなリズムを、ごゆっくりご観賞ください。
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