Fig. 3. An example of erroneous data found in JODC XBT database. The data was taken at 25°44. 0' N and 128°40.0' E on March 21, 1980.
Ship name was intentionally erased by its originator, and some of depth information indicated in the same columns were also erased accidentally.
和歌山水試の資料について、最大の観測深度と測点水深を比較してみたものがFig.4である。潮岬沖真南の測点では、観測中に強い黒潮で船が東に流されると、水深がどんどん深くなってしまうため、測点水深の30%増し程度の観測深度が得られることは珍しくない。しかし、Fig.4に見られる様に、水深の約2倍(100%増し)の観測深度は非常に不自然である。そこで、このような過剰な観測深度の発生率が、どの時期に多かったかを調べるため発生頻度の経年変化を調べてみた。その結果をFig.5に示すが、1974年から1978年の5年間に観測深度が水深の90%以上深くなった事例が集中して起こっているが、この誤りの発生原因は観測野帳と対照することによって見出すことが出来た。都道府県水産試験研究機関が担当している定期観測には浅海定線・沿岸定線・沖合定線の三種類あるが、PODフォーマットで浅海定線に採用されている標準観測層は、後の2つの定線とは異なっている(Table.1)。誤りの多く生じた時期には、浅海定線用の海洋観測表の用紙が品切れになっていたためか、浅海定線観測結果も沿岸観測定線用の用紙に記載されており、深度欄の訂正が行われていないものについては沿岸定線の標準層の深度値が入力されてしまっていた。このようなことは担当する研究者にとっては自明のことであるため、丹念な訂正がなされていなかったようであるが、アルバイトでは、当然深度欄に記されている深度をそのまま入力してしまうことになる。
これに類似した誤りは、JODCのXBTデータベースの中でも発見される。その1例をFig.6に示す。この例のように、XBTの測定が水深4、000mに及ぶことは考え難い。JODCの水温フォーマットでは、1000mから1500mの範囲では、水温を100m毎に記載し、1500m以深では500m毎に記載することになっている。従って、その欄に1500m以深でも100m毎の値を記入すると、異常に深い所まで観測したかのようなデータセットが生じてしまうことになる。このような誤りはデータ取得機関の研究者が自らチェックすれば、容易に発見し得るもので、現場用の品質管理ソフトと普及を急がなければならない由縁である。