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2.1.3 結果及び考察

イ、今回の調査では、その主な対象である小型船を中心として、船種あるいは海域等にも偏りのない調査が行えた。

 

ロ、現在の航海では、船種を問わず海図の利用者が最も多いが、図類等グラフィック表示機器等の利用者もそれに次いで多くなっていた。時代の流れと同様に紙の利用から、コンピューターを媒体としたデジタルデータへの移行が始まっていると思われる。しかしこの流れは緩やかなもので、移行する電子媒体としてもこれといって有力なものは現れていない。ここにおいて、本研究の時期的な必要性が感じられる。

 

ハ、本システムに必要と思う海図や海域の情報としては、ユーザーはより豊富なものを求める傾向があった。ソフトウェアの画面設定としては、ユーザーの自由度を残すような設定が望まれていた。しかし、価格的な問題としては、きびしい意見が多く見られ、より安く、より豊富な情報をどのように提供するかが問題となるだろう。

 

ニ、海上保安庁によるDGPSのサービスは、モーターボートや遊漁船でかなりの普及率が見込まれた。このことは、小型船におけるDGPSの有用性を表しており、本システムとしても検討する必要がある。また、海上での情報交換の手段としては、携帯電話が最も多く、それ以外の船舶電話や衛星携帯電話の使用を併せると、約80%が電話を所有していることがわかった。小型船等では簡易な機器類の利用が多かったことから、如何に簡易に必要な情報を提供できるかが問題になる。この点でパソコンを媒体とした情報の提供はかなりの簡易性をもっていると考えられ、加えて携帯電話の普及率はインターネットやE-Mail等の利用を可能とするだけでなく、将来的に気象情報など海象情報の提供が可能となれば更なる利便性の向上が見込まれるだろう。

 

ホ、本システムは、今後フラッグシップ的な存在になると予測され、これらの結果を反映させた形で将来のシステム発展の可能性を見定めつつ、研究を進めていく必要があるだろう。

 

 

 

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