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流氷について

 

北海道周辺の海氷は、港や沿岸で海水が凍結しその場所で成長する定着氷(沿岸結氷)と風や海流、潮流によって漂流する流氷とに分類されます。オホーツク海の流氷は、冬季のみに見られる1年氷(季節海氷)です。

 

定着氷(沿岸結氷)

釧路港から宗谷海峡に至る北海道の太平洋側及びオホーツク海側の港や沿岸海域では、12月下旬に結氷が始まり、翌年3月下旬には融解します。

これらの港や沿岸では、初期に河川の流域や船だまり内の一部に新成氷が発生し、その後増減を繰り返しながら次第に発達してゆき、最盛期には船舶が航行できないようになります。宗谷海峡付近では、数日から2週間ぐらいの間、漁船等の航行に支障を生じる程度ですが、根室、網走、紋別などの港では、1か月半から2か月間にわたって船舶の航行が困難となります。

 

流氷

流氷は12月下旬から翌年1月上旬にサハリン東岸南部のアニワ岬東方沖合で初めて視認されることが多く、1月中旬から下旬になって北海道北岸、国後島北岸及び択捉島北西岸に接近します。初期の流氷は小板氷や砕け氷が集合し、数条から多数の流氷帯となって漂流していることが多いです。

1月下旬になると、流氷は勢力を増して北海道北岸の全域に接岸するようになり、一部は根室海峡及び国後水道を南下して北太平洋に流出します。また、場合によっては、宗谷海峡から日本海側にも流れ出ます。

 

流氷最盛期

例年、流氷の南下勢力が最大になるのは2月中旬から3月中旬です。北海道北岸、国後島北西岸及び択捉島北西岸並びに根室海峡のほとんど全域が、厚さ1〜2mの氷盤が密接した大氷野に覆われ、すき間が全くなくなることもあって、船舶は航行できません。

 

太平洋の流氷

北海道東方及び国後水道等の諸水道から太平洋に流出した流氷は、風や海流(親潮)により南西方へ漂流し、北海道沿岸に接近します。板氷や砕け氷の集合した流氷帯が多く、中には水面上の高さ2〜3mに及ぶ氷盤岩も含まれていることがあります。この方面を航行する船舶は十分に警戒しなければなりません。

4月下旬以降は北海道周辺では流氷が見られなくなります。

 

船舶航行障害

根室海峡西側では40〜50日、北海道北岸では40〜80日にわたって船舶が全く航行できなくなります。

なお、最盛期の北海道北岸でも、陸岸から流氷が認められなくなることがあるますが、これは一時的なもので再び氷野が押し寄せくくることもあり、航行には十分注意しなければなりません。

 

結氷・流氷の平均初日と終日

昭和36年〜平成2年の30年間の統計期間(ただし、釧路港は昭和40年〜平成2年の26年間)における北海道沿岸各地の結氷・流氷の平均初・終日は、次表のとおりです。

統計期間中、最も早い流氷初日は網走港の1月3日、最も遅い流氷終日は羅臼港の5月13日です。釧路港及び稚内港では、流氷の初日、終日は年によって非常に異なり、流氷が全く見られない年もあります。

*流氷初日:陸上の観測地点から流氷を初めて視認できた日

*流氷終日:流氷を視認できた最後の日

 

 

 

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