得た成果
国立病院四国がんセンター
木村 美恵
はじめに
平成11年10月18日から11月30日まで緩和ケアナース養成研修を受けた。研修で学んだことを報告する。
研修での学び
1) 研修での学び、研修の動機
病院が新築する際に緩和ケア病棟が開設されるため、一つでも多くのことを学び、知識・技術を深めたい。
2) 研修目標
1] 病床にある人々との関わりにおける他者理解を深める。
2] 他者理解、自己理解、人間関係についての理解を深める。
3] 全人的人間関係理解をはぐくむ視点を得る。
4] 終末期医療に携わる看護者としての課題を把握する。
3) 緩和医療
緩和医療の理念は「死にゆく人と家族に対して、身体的、精神的、社会的、霊的ケアを在宅と入院の両方の場面で提供する緩和サービスと支援サービスの調和がとれたプログラムである。種々の専門家とボランティアが、他職種の医療チームを構成してサービスに当たる。患者の死後、遺族に対して死別後の援助を行う」である。
1]治癒しない疾患の患者と家族を対象。2]積極的かつ全人的なケアを基本。3]QOLの向上を目指す。
症状緩和のポイントとして、MST(M:モルヒネなどの鎮痛薬、S:コルチコステロイド、T:精神的援助と向精神薬、そして持続皮下注入法)がうまくいくと患者のQOLが高まるということであった。スタッフ同士が互いに理解し、援助し合うことが非常に重要で、チームメンバーがお互いの感情を分かち合い、助け合ったりすることのできる雰囲気づくりや協力の必要があるということを感じた。
4) 死生観
死生観とは「死ぬこと、生きることの考え方」のことである。緩和ケア病棟では、「自分の死が見えている患者さんを看護するのですから、必ずおとずれる死から逃避することなく、勇気を持って自分の死を見つめ、死までを見つめ、死までを悔いなくゆったりとした気持ちで残り少ない日々を生きられるように支援するのが、緩和ケア病棟のスタッフの役割です。そのためには、スタッフ自身が自分の死生観を持っていることが前提となる」ということでした。私は今まで死ぬことなど考えたこともなかったため、この講義はとても緊張し、無事に終わるかどうか心配であった。
自分の死生観を検討し、終末期の患者さんや家族への支援のあり方や、チームアプローチについて体験的に学ぶことができた。そして、この講義が終わったあと、周囲に対して感謝の気持ちで胸がいっぱいになり、チームアプローチではその人その人でいろんな支援の方法があるということを学び、伝えることの難しさを改めて感じた。
何のために支援するのか……誰のために支援するのか……支援される人にとってどのような意味があるのか……を自分の中で今後も問いかけていこうと思う。