人間対人間の心のこもった緩和ケアをめざしたい
石心会狭山病院
六反 勝美
はじめに
大学病院に勤務していた時に、末期医療について疑問に思うことが多く、ホスピスケアを提供できる看護婦や他医療者の必要性を感じました。そして自分自身、ホスピスケアができる看護婦になりたい、勉強したいと思うようになりました。そして、現在の狭山病院に就職し、一般病棟の中にPCU8床のある病棟に配属されて、2年目を迎えました。が、日々の忙しい仕事のせいにして、初心を忘れかけていたように思います。今回この研修は、そんな私にとって自分のやりたいことを再確認し、気持ちもリフレッシュでき、今後の方向性をも見いだせた、とても充実した研修でありました。また、講義や実習から多くの学びを得られたのでここに報告します。
学んだこと
1) 緩和ケアの基本的理念を理解する
この研修では自分の緩和ケアについての漠然としていた知識を、さらに深めることができました。
生命倫理では、医療の場においては、すべての行動に対して倫理的側面から考え、自分に問いかけることの必要性を学びました。
また、緩和医療では、患者さんの将来のQOLを高めるために、現在のQOLを犠牲にするということはなく、現在のQOLを可能な限り高めることに焦点をあてるということ、医療者の関わりで、患者さんのQOLをさらに高められる可能性があるということを学びました。自分の果たす役割の重要性を感じ、考える機会となりました。
緩和医療の講義では、がんも慢性疾患となってきている今、病気や痛みをコントロールするのは患者さん自身であるということ(血糖や血圧をコントロールするのと同じ)、それを医療者がサポートしていくという考え方を学びました。後から記しますが、内布先生の言う、セルフケア能力を高めるということだと思います。
また、自己決定についてですが、自己決定をするという意識が高まってきていますが、自己決定できない患者さんへ自己決定しなさいと言っていいものか? 日本には家族主義的なところもまだまだ残っているし、「自分がこうなったら〜してほしい」と自分が死ぬ時のことまで、必ず自分で決めておかなければならない世の中が果たして良いのか? 家族が決めても良いのではないか? ということも考えさせられ、緩和ケアの原則はあるけれど、それをすべて押し付けることはできない。原則も根本に置きつつ、死に至る過程の中では原則ではどうにもならない、説明できない場面もあるのだということを学びました。
それから、患者さんの希望を大切にするとよく言われますが、現実的に無理な希望もあり、患者さんの希望であっても、現実的な修正が必要であり、それを行うことでQOLの向上につながって、達成されていくということも学びました。看護婦は、職業人としてはリアリストでなければいけないということも言われました。自分もリアリストでありながら、思いやりのもてる看護婦になれたらと思います。
2) 緩和ケアに必要な知識・技術を習得する
この知識、技術を習得するというのは、私は、この研修に臨むにあたり、自分の最も大きな課題であったと思います。