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やさしさの医療をめざして

 

淀川キリスト教病院

和田 栄子

 

はじめに

 

ホスピスに勤務して1年数か月。自分なりにホスピスケアを考え実践してきましたが、客観的に自己の施設を見つめ、これからの課題を明確にしたいと考えました。研修に参加し、講義で学んだ知識をもとに以下の目標を立案し、実習に臨みました。目標にそって学んだことをまとめてみたいと思います。

 

実習目標

 

1 実習施設における緩和ケアの実際を学ぶ。

1) 緩和ケア病棟の理念、位置づけ、役割について学ぶ

2) 症状マネジメントの実際とアセスメントについて学ぶ

3) チームアプローチについて学ぶ

4) 緩和ケア病棟における看護婦の役割について学ぶ

5) 継続看護のありかたについて学ぶ

2 実習施設での学びと講義での学びを統合し、ホスピスケアについて再構築し、自己の施設における自分自身の課題を明確化する。

 

1) 緩和ケア病棟の理念、位置づけ、役割

治癒の望みなく死という現実に直面している人々の全人的痛みを緩和し、“やさしさ”の医療を実践することを理念とされています。また、ホスピスケアは終末期にある人だけに提供されるものではなく、病院全体がホスピスケアを基盤として取り組みがされていました。したがって緩和ケア病棟は特別な場所ではなく、一般病棟の延長線上に位置づけされています。そのような中で、疼痛緩和に対する積極的な治療が患者さんの希望に合わせ行われていました。

緩和ケアは終末期からスタートするものではなく、積極的治療の流れのなかでも患者を全人的にとらえケアしていくことが重要と考えます。東札幌病院の病院全体での取り組みを通し、自己の施設でのホスピスの役割についても考えることができました。

 

2) 症状マネジメント

終末期にある患者がその人らしくあるためには、症状の緩和が不可欠となります。自己の施設においても症状マネジメントは重要な位置を占めていますが、患者を主体としたマネジメントの必要性を感じています。実習施設では、痛みのアセスメントシートをもとに、患者と共にマネジメントが行われていました。初期アセスメントでは、痛みの部位、性質、スケール、持続時間と一日の変化、今までの鎮痛薬の使用状況とその効果および副作用、日常生活への影響、痛みの増悪因子、緩和因子、患者の心理状態と社会的側面、痛みに関する患者、家族の認識、痛みのゴールが明確にされていました。また、継続アセスメントでは一週間ごとに痛みの評価を行い、痛みの強さ、副作用、身体以外の痛みの内容、痛みのマネジメントに対する患者の満足度、今後の方針、計画が明確にされていました。実際に患者を受け持ち痛みのアセスメントを行うことにより、患者を主体としたマネジメントについて具体的に学ぶことができました。

 

 

 

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