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『剣道を続けて学んだこと』

 

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香川県丸亀市

(財)玄武道場

中学三年生

今滝玄太郎

僕が剣道を始めたのは、小学校三年生の夏でした。

母に連れられて道場に来た日、当時八才だった僕は、正直に言うとおびえていました。武道を習う所には熊のようなこわい師範がいて、木刀で殴られるかと思いこんでいたからです。

しかし、今考えると無駄な心配でした。

師範の森川先生は優しい方だったし、練習には竹刀を使うものだと知った時、何となく自分が恥ずかしくなりました。

道場に入ってから、いろんな仲間ができました。

僕が入ったのは初心者の部だったので、僕より年下の先輩がたくさんいました。最初は変な感じがしたけれど、すぐに馴れました。今でもありがたい先輩たちです。

最初は足運びや素振りから教わりました。

素振りは森川先生に直々に指導していただきましたが、時々外して先生の手に当ててしまいました。そんな時でも先生は、怒らずしっかりアドバイスをして下さいました。その時、剣道に必要な心の力を先生から感じました。

練習を続けて一年ほどで、防具をつけて練習するようになりました。まだ新しい防具は少し動きにくかったけれど、自分が強くなったような気がしてうれしかったです。

そして、この頃から試合稽古にも参加するようになりました。

最初の試合のことは今でも覚えています。

何が何だか理解できないうちに、

「ぱっこん」

の一発で負けてしまったのです。自分が試合をして負けたことが分かり、くやしさがこみ上げてきたのは、それから数分たってからのことでした。

四年生になって引っ越しましたが、道場には通い続けました。飽きっぽい自分が何故剣道を続けられたのか。先生方に稽古をつけていただいたり、仲間と一緒に練習するのが楽しかったからだと思います。

技がうまく決められなかったり、何度も面を打たれたりと、それなりに悔しい気持ちも味わいましたが、いい汗をかく楽しさを覚えた時期でもありました。

それから中級者の部へかわったとき、僕が初めて練習風景を見た感想は「皆強そう」でした。

それほど年上ではない先輩達の竹刀を打ち合う音が大きく響き、先生方も初心者の部の稽古中には見られない厳しい顔で気合を飛ばしていらっしゃいました。

何度も負けて、技が決まらなかった時も、「当たって砕けろ」モットーにがむしゃらに稽古をつけてもらっていました。

その成果が出て、試合に勝てたときは本当に嬉しかったです。今まで公式試合で勝ったのは本当に数えるほどだけれど、引かずに打ち合って面が決まった時の喜びは何物にもかえられないものでした。

中学校に入ってからは剣道の練習に行ける日は週二回に減ってしまいました。月曜日は主に先生方や一般の方が練習をする中にまじり、木曜日は主に小学生といっしょに「特訓日」として練習します。練習に行ける日数が減ってしまったのは残念ですが、どちらの日にもたくさん学ぶことがあるし、部活動も剣道部なので学校で練習を続けることもできます。

 

 

 

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