3.2 野生動物救護ボランティア活動のその後の展開
我が国では、ナホトカ号事故以降現在まで、流出油災害によって汚染された野生動物の救護活動をより効果的に実行することなどを目標に、官公民による様々な取り組みが行われてきた。
本節ではその状況について整理するとともに、今後の野生動物救護ボランティア活動について考察を行った。
(1) 環境庁による取り組み
環境庁では、流出油災害によって汚染された野生動物の救護活動を効果的に実行するため、本年度中の整備を目指し、東京都日野市に「水鳥の救護研修センター(仮称)」を建設中である。
今後、同センターにおいては、1]地方公共団体職員、一般市民等を対象とした水鳥の救護技術に関する研修、2]水鳥の生態及び救護に関する情報・知見の収集・整理、3]救護用備品の貸し出し等の活動が行われる予定である。
また、環境庁では平成8年度より横須賀市において、地方自治体職員等を対象に、油防除手法や油によって汚染された野生動物の救護等に関する知識・技術の習得を目的とした研修会を開催してきた。同研修会では油防除専門家、獣医師等による講義のほか、油防除訓練や水鳥の洗浄といった実地研修がカリキュラムとして盛り込まれている。
なお、同研修会は平成10年度から全国各地で開催されており、対象者についてはNGOなどに対しても門戸が広げられている。
(2) 地方公共団体による取り組み
北海道では平成11年度より、北海道獣医師会が道庁委託事業として獣医師及び一般市民を対象に、油によって汚染された動物の救護技術の習得を目的とした講習会を開催している。
大阪府及び大阪市においても平成10年度より、府及び市主催による同様の講習会が開催されている。
(3) 野生動物救護獣医師協会による取り組み
現在、野生動物救護獣医師協会(WRV)では、一般市民等を対象に、流出油災害によって汚染された動物の救護技術の習得等を目的とした講習会を自ら開催するとともに、環境庁、関係団体等が開催する同種の講習会へ会員の獣医師を講師として派遣している。