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まえがき

この報告書は、「新津波警報伝達システムの普及」事業の成果をまとめたものである。

わが国では過去に幾度も大津波による人的・物的被害を受けてきた。津波被害を防止・軽減するためには、津波警報がいち早く市民に伝達され一刻も早く避難することである。気象庁では今年4月から津波の予報区分を細分化、各区で予想される津波の高さや到達時間を地震発生後直ちに具体的な数値で予報できる体制を整えた。また、従来の広報車やサイレンの他に同報防災無線を海岸に設置する自治体も増え、テレビ、ラジオでも地震発生後直ぐに津波情報が流されるようになった。

しかし、これらの伝達方法は陸上に居る市民には有効であるが、同報防災無線のない海岸や沖合で海洋レジャーを楽しんでいる人達、漁業や海上作業に従事している人達に、津波情報が迅速かつ確実に伝達されるかどうか懸念される。平成5年の北海道南西沖地震後の教訓として「海浜地への伝達範囲の拡大」の必要性が指摘されている。

このような背景の基に平成8年度、火工品会社2社が財団法人シップ・アンド・オーシャン財団の補助を受けてロケット式「新津波警報伝達装置」を開発し、財団法人日本海洋レジャー安全・振興協会がこの装置による「津波警報伝達システム」の調査研究を行った。

当協会では、津波災害防止の観点から財団法人日本海洋レジャー安全・振興協会の協力を得て、平成9年度に地域の防災関係者や住民、報道関係者等を対象に、宮古市と沼津市で説明会と公開実験を行い、有効牲に関して各方面から要望や意見を収集し、10年度にこれらの意見を基に伝達信号を改善した。平成11年度は新しい伝達信号で日南市と釧路市で再度説明会と公開実験を実施し、その成果を報告書としてとりまとめた。

本事業は、東京経済大学吉井博明教授を委員長とする「新津波警報伝達システムの普及事業実施委員会」の委員各位と、防災関係省庁から参加戴いたオブザーバー各位の貴重な意見や助言、熱心な討論によるものであり、これらの方々に対し厚くお礼申し上げる次第である。

また、説明会・公開実験の実施に当たっては日南市、同市消防本部、油津海上保安部、釧路市、同市消防本部、釧路海上保安部をはじめとする多くの関係機関・団体のご理解と多大なるご協力を得た。これらの方々に対しても感謝の意を表する次第である。

平成ll年12月

社団法人 日本海難防止協会

 

 

 

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