3. 衝突に至る経緯(別図参照)
「日清」は名古屋港を出港し、船長の操船指揮で伊良湖水道航路に入航した。伊良湖水道航路航行中、航路内で海上交通安全法に定める制限速力の12ノットを超える13.2ノットの速力で巨大船G号の左舷側を追い越した(「航路内では、できる限り他船を追い越さないこと。」という指導を不遵守)後の午後4時51分頃、自船の右舷前方を横切るように航走する「第八東星丸」を初認した直後、減速することなく、また、海上衝突予防法に定める疑問信号や操船信号を行わないまま、舵による動作のみで相手船の左舷側を航過しようとした。
一方、「第八東星丸」は、大阪港向け名古屋港を出港して伊良湖水道を南下したが、海上 荒天のため神島南東沖合において反転し、再度、伊良湖水道航路に向かったが、海上交通 安全法の規定に違反して航路の南西側側方から横切る形で航路に接近したところ、伊良湖水道航路を南下する巨大船G号、自動車運搬船「日清」および小型貨物船を認めたものの、漫然と航行し、「日清」と巨大船の間を通過しようとして左転舵の動作をとった。
両船とも相手船を避航するため、針路変更の動作をとったものの、両船の避航しようとした方向が同じであったため、両船間の距離は急速に接近し、衝突直前には「日清」は左転 一杯の動作をとり、また、「第八東星丸」は機関停止、後進一杯としたが間に合わず、「第八東星丸」の右舷ほぼ中央に「日清」の船首が衝突し、衝突現場付近において「第八東星丸」は沈没、同船の4名が死亡または行方不明、1名が全治2週間の頭部打撲等の傷害を負ったものである。
4. 両船の要目等
(1) 「日清」
船籍港 神奈川県横浜市
総トン数 6,429トン
全長 138メートル
用途 自動車運搬船
積荷 自動車913台
(2) 「第八東星丸」
船籍港 愛知県今治市
総トン数 497トン
全長 76.15メートル
用途 貨物船
積荷 合金鉄1299.833トン