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<秋田県の藻場>

 

八森町地先(岩館・滝の間・横間茂浦)では、比較的急深のため、藻場の範囲は狭く、概ね水深2〜3m以浅の距岸100m程度までである。構成種はトゲモク・ヨレモク等のホンダワラ類及びアナアオサ・ワカメ・アミジグサ・マクサ・タオヤギソウ・モロイドグサ等である。春季にはワカメの群落が点在して形成される。大型ホンダワラ類による藻場は局所的であるものの、日本海における重要な底魚資源であるハタハタの産卵場として機能している。

男鹿半島北岸(男鹿北磯)では、勾配の緩やかな海底地形であり、距岸1,000〜1,500mまで広大な藻場が形成されている。構成種はヤツマタモク・スギモクを主体としたホンダワラ類であるが、エゾヤハズ・ハバモドキ・イバラノリ・イシモズク等も出現する。

この海域のガラモ場は本州で最大規模のハタハタの産卵場と考えられている。

男鹿半島西岸(塩浜〜門前)では、急深のため藻場は距岸100m以内の範囲に形成されている。当海域では暖海性のツルアラメが卓越しているが、5m以浅ではフシスジモク・ジュロモク・ヤツマタモク等のホンダワラ類が優占しているホンダワラ類の分布下限は他海域に比べ深い傾向にあり、水深10mまでヨレモク・ノコギリモク・アカモクが出現する。春季にはワカメ群落が水深3〜10mまで出現する。

男鹿半島南岸(男鹿南磯。生鼻崎)における主な出現海藻はアカモク・ヤツマタモク・ジュロモク等のホンダワラ類とツルアラメであるが、他の男鹿半島地域では少ないツノマタが比較的多く出現する。小規模であるがアラモ場が認められる。水深7〜9mまでツルアラメ・ヨレモク・ケウルシグサ・シワヤハズ等が出現する。春季にはワカメの群落が点在して出現する。

県南部(平沢〜飛・赤石〜象潟・大須郷県境)は他地域に比べ、浅所域の軽石帯が比較的広く分布する海域である。主な藻場構成種も異なり、ツノマタ・スギノリ等の紅藻類とアオサ類が優占する。ガラモ場は局所的な分布であるが、ハタハタの産卵場として機能している。

 

【資料】

第4回自然環境保全基礎調査 「海域生物環境調査報告書 第2巻 藻場」環境庁 1994年度

 

 

 

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