3. 事業成果
本事業は1993年(平成5年)に実施した基礎調査、その後3ヶ年にわたって実施した実用面での検討を進めるための試作事業等によって得た知見をもとに、油汚染事故に係るセンシティビティ・マップを、民間機関の自助努力により広く一般に供することを目標として揚げた上で、昨年度の日本海中部沿岸域に引続き日本海北部沿岸域を対象として実用に供する形で完成させたものである。
1995年(平成7年)5月のOPRC条約の発効を契機として、センシティビティ・マップの整備・普及が世界的にも進められている中、昨年度に引き続きわが国初の一般向け実用情報図の整備を行った本事業は正に時宜を得たものであると言える。
また、先般発生したナホトカ号重油流出事故やダイヤモンドグレース号原油流出事故により、油防除問題に対する国民の関心が高まる中、本事業の一環として実施した「日本海北部沿岸域環境保全リスク情報マップワークショップ」には多数の海上防災関係者等が集まり、係る実用図の有効性が高く評価されるとともに、今後の活用方法のあり方などについて幅広い意見交換が行われた。
本事業については、報道機関等でも大きく取り上げられ、わが国におけるセンシティビティ・マップの整備・普及の促進に対する世論の期待と関心の高さを窺い知ることができた。
当協会が一連の調査研究で得た知見は、今後の我が国におけるセンシティビティ・マップの整備・普及の促進に大いにいかされるものと期待できる。