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b 1週間航海想定実験(冬季実施)

1週間航海想定実験では、次の実験を行った。

処理条件は、3連結、海水流量:340L/min、空気注入量:パイプ1段当たり海水流量の7.5%(計22.5%、76.5L/min.)、パイプ入り口圧:4.45kgf/cm2で、先に実施した2週間航海想定実験において最も現実的な方法と評価された条件と同じにした。また、処理時期も漲水時処理、排水時処理、漲水・排水時の両方処理と同じとした。異なるのは、航海期間を1週間と想定し、暗黒条件下の貯蔵を1週間とした点と、バクテリアに関する観測項目を一般従属栄養細菌から病原菌の指標としての大腸菌群数に変更し、さらに、ミキサーパイプ処理による富栄養化の懸念を検討するために、栄養塩類を追加したことである。

(a) プランクトン

表II.2.2-17および図II.2.2-20には、プランクトンに関する実験結果を示した。図II.2.2-21には、処理による植物プランクトンおよび動物プランクトンの損傷率を示した。また、損傷率に関しては、夏季に実施した2週間貯蔵実験結果を含めて、表II.2.2-18にまとめた。

実験結果は、8月の2週間貯蔵実験とほぼ同様の結果であり、次の内容が確認された。

○植物プランクトン、動物プランクトン共に、原水を航海中のバラストタンク内と同様環境の暗黒条件下で貯蔵(1週間、2週間)するだけで、多くの細胞、個体が死滅する。

○ミキサーパイプで処理すると、損傷細胞、個体が増加する効果が得られる。

○現有ミキサーパイプ3連結の1pass処理による効果は、動植物プランクトン共に、損傷率でおおよそ50%以上であり、季節、温度、種類が異なってもこの効果は得られると考えられる。

○暗黒条件下1週間貯蔵の損傷率は、同2週間よりも低いものの、植物プランクトンで90%以上、動物プランクトンで80%以上となり、原水をそのまま貯蔵したものよりも処理後に貯蔵(漲水時処理)した方が高い。

○1週間貯蔵後の海水をミキサーパイプで処理すると、動植物プランクトン共に、90%以上の損傷率が得られ、原水を貯蔵してから処理(排水時処理)する方法よりも、処理した海水を貯蔵して再処理(漲水時・排水時の両方処理)した方が高い損傷率が得られる。

○ただし、1週間貯蔵の各種損傷率は、夏季に実施した2週間貯蔵の各種損傷率よりもわずかに低い。

◎以上のことを総合すると、ミキサーパイプ単独処理のプランクトンに対する殺滅効果は、季節、水温、種類に関係なく、漲水時処理<排水時処理<漲水時・排水時の両方処理の順に高く、排水時処理の場合では1週間の航海後で90%以上、2週間でほぼ100%の損傷率を得ることができる。

 

 

 

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