日本財団 図書館


(3) 実験結果

1] 予備実験

a 各要素の効果検討実験

以下には、ミキサーパイプ各要素の実験結果を示す。また、各要素の効果は、次のようにまとめられた。

ミキサーパイプの海洋生物殺滅効果は、旋回、突起、空気の3要素が共に機能して大きくなると考えられ、個別の要素では十分で無いと判断される。

また、流速は、速い方が高い効果が得られると考えられるが、実船ではポンプ能力と必要流量が制約条件となるため留意が必要である。この制約を考慮すると流量341L/min.の時に得られる流速5.26m/sec程度が現実的であるし、この流速でも十分な海洋生物殺滅効果が得られる。連結数も多い方が高い効果が得られるが、増やすことによって圧損も増加することになり、パイプ内径約40mmの現有パイプの場合には3〜5連結(パイプ入り口圧が5kg/cm2前後)が妥当なところと思われる。

以上は、1pass処理時の各要素の効果である。循環の効果は、基本的に1pass効果が積算されることとなり、トータルの効果が高くなる。10回循環した場合には、1passの各種実験で効果が認められなかった細菌類も大きく減少しており、実船の諸条件が許されるならば、漲水時および排水時の処理や漲水時と排水時の2回の処理に加え、循環処理することも検討の価値があると考えられる。

(a) 旋回作用実験

表II.2.2-1および図II.2.2-2には、動植物プランクトンに対する旋回作用実験結果、表II.2.2-2および図II.2.2-3には浮遊物質量の変化を示した。なお、実験データは、いずれも粒子サイズ別に取得している。

旋回作用は、旋回部(図II.2.2-1参照)で海水が高速旋回することによる乱流で旋断力が発生し、プランクトン等の粒子を粉砕すると考えられる。

実験の結果では、植物プランクトン、動物プランクトン共に、最も小さなサイズ区分で数そのものが減少している。この結果は、浮遊物質量のサイズ22μm以下の減少とも一致しており、旋回作用だけでも小型の生物を中心に減少(破損)させる効果が認められる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION