(3) 油吸着材による吸着回収
油吸着材は、油を吸着させたあと1枚も残さず完全に回収できるなら、最も油処理に適した資材といえましょう。しかし、油を吸着するのに数分から10数分を要することから、その間に風潮流によって拡散することが多いので、これら未回収のものが海面を漂い、航行船舶の推進器にからみついたり、油回収船のポンプを詰まらせたりすることがあります。油吸着材の使用については、回収を容易にするためオイルフェンス等で囲まれた海面内で使用するようにし、投入したものは必ず回収するようにしなければなりません。また、油吸着材の吸着効果は、油の含水量が多くなるとそれだけ少なくなるが、ある実験によると、含水量が40%くらいになると吸着率は急激に低下するという結果がでているので、油の含水量も考慮しないでやみくもにまき散らさないように注意しなければなりません。
(4) 油処理剤による処理
油処理剤による処理作業を行う場合、最も注意を要するのはその使用量であります。
油処理剤は、流出油の種類、拡散状況、現場の気象・海象状況に応じて決め細かな散布・攪拌技術が要求されている反面、手軽に使用できることなどから油量に対してややもすると過大にすぎる量を使用する傾向がみられますので注意する必要があります。
(5) 油ゲル化剤によるゲル化回収
油ゲル化剤は、油をゲル化し、流動性をなくしたあとネット等を使って回収する薬剤で、オイルフェンス等で囲まれた海面や損傷した船舶の区画内の油の回収に効果的です。
油吸着材、油処理剤とともに、現場の海域の状況に応じ適切に使い分け、より効果的な防除作業を行って下さい。