一般に、洗浄は高温・高圧が効果的ですが、爆発事故防止の面でも十分な安全対策を立てることが必要です。
貨物艙の内部構造は複雑であり、死角が生じないように、ポータブル方式ではノズルの吊下げ位置の決定にあたっては、細かな吊下げ操作が必要であり、固定式ノズルでは、ノズルの洗浄範囲とともに洗浄時間を考慮した効果的なパターンを検討する必要があります。
4] 洗浄汚水の扱い
洗浄汚水はスロップタンクに集め、油水分離する必要があります。このため、使用するスロップタンクと発生する汚水の予想量などについて前もって計画を立て、油水分離作業が順調に行えるように考慮することが必要です。(専用スロップタンクを有しない船にあっては、タンクの選定が重要な要素となる。)
5] 作業時の注意
油濁事故及びその他の事故を防止するため、注意事項を挙げ、作業関係者全員に周知させることが必要です。
<タンク洗浄作業>
原油洗浄の概要については、別途技術基準が定められております。
ここでは海水により貨物艙を効果的に洗浄するため考慮すべき事項等について説明します。
1] ノズルの吊下げ位置
タンカーのタンク・クリーニングホールの位置は、新造の段階で決定されているため、作業に応じ位置を選定することは不可能です。本船上でできることは、このタンク・クリーニングホールよりノズルを吊下げた場合、最も効果的なノズルの高さを決定することです。洗浄効果の面からは、全タンク内構造物表面にノズルからの射水が直接当たるのが理想です。しかしながら、一般的にいってこれは不可能に近く、実際には、反射水も利用し洗浄が行われています。実際に吊下げ位置を決定するには、タンク内構造物とノズルの有効射水距離により、最も死角の少ない位置を求めるのがよいようです。
ポータブルノズルの有効射水距離の例は、次のとおりです。