(6) 油濁防止管理者(法6)
貨物油の積込み・移替え、取卸し、水バラストの積込み・排出等の作業の際に、ビルジ等排出防止設備、水バラスト等排出防止設備及びこれらに関連するポンプ、バルブ等を順序正しく的確に操作し、作業を進めていくとともに、これらの設備の保守・点検等に関する業務を実施することは、船舶からの油の不適正な排出を防止するためには重要なことである。こうした観点から、船舶所有者は、船長を補佐して油の不適正な排出の防止に関する業務を統括管理させるための専門家として油濁防止管理者を選任しなければならないこととされている。油濁防止管理者制度は、日本船舶であって総トン数200トン以上のタンカーに限定されており、日本船舶以外の船舶については適用されない。ただし、総トン数200トン以上のタンカーであっても、引かれ船等 (専ら他の船舶に引かれ、または押されて航行する船舶をいう。以下同じ。)であるタンカー及び係船中のタンカーには油濁防止管理者の選任は不要である。(規則9)
1] 油濁防止管理者の備えるべき要件(規則10)
「船舶職員法」(昭和26年法律第149号)第4条[免許]の規定による海抜従事者の免許(海技士(通信)、海技士(電子通信)及び小型船舶操縦士の資格についての免許を除く。)を受けている者であって、次のイ.又はロ.いずれかの要件を満足していなければならない。
イ. タンカーに乗り組んで油の取扱いに関する作業に1年以上従事した経験を有する者
ロ. 油濁防止管理者を養成する講習として運輸大臣が定める講習を修了した者
イ.又はロ.は客観的に認められるもので特に認定行為は必要としないが、要件を満していることの証明を欲する者は、申請により地方運輸局長(海運監理部長を含む。)又は沖縄総合事務局長(以下「地方運輸局長等」という。)から証明書の交付を受けることができる。油濁防止管理者を養成するための講習は、地方運輸局長等の実施する油濁防止管理者養成講習である。
2] 油濁防止管理者の職務
油濁防止管理者の職務として、具体的には次のような業務が挙げられる。
イ. 油記録簿を記載し保管すること。