1 海洋汚染の現状
(1) 海洋汚染の発生確認状況
海上保安庁が平成10年に我が国周辺海域において確認した、油、廃棄物、工場排水などによる海洋汚染の発生件数は、697件で前年に比べ16件減少し、昭和48年に統計を取り始めて以来最少の件数となった。これは前年に比べ、赤潮の件数が半減(28件減)したことによるものである。
1]種類別
種類別に見ると第1図に示すとおり、油によるものが最も多く、平成10年には388件と全体の56%を占め、油以外のもの(有害液体物質、廃棄物、工場排水等)が283件(41%)、赤潮については26件の発生を確認している。
2]海域別
海域別に見ると、例年我が国周辺海域における海洋汚染の約半数は、東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海の4海域において発生しており、平成10年においても第2図に示すとおり、東京湾87件、伊勢湾32件、大阪湾56件、瀬戸内海148件とこれらの海域だけで323件と全体の46%を占めている。これらの海域は、人口の集中している大都市や臨海工場地帯をひかえ、また、船舶の交通量も他の海域に比べて多いことから、汚染発生の可能性の高い海域となっている。