平成十二年を迎えるにあたり謹んでご挨拶を申し上げます。
わが国経済は、長いトンネルから抜け出すまでには至りませんでしたが、今年こそ景気の本格的な好転を期待したいものです。
昨年は、世間の関心を呼んだ漁船新生丸の海難事故、相次いだ新幹線トンネル内の崩落事故、東海村の臨界事故の発生、さらにコンピュータの二〇〇〇年問題等々、安全への取組の重要性が改めて注目された年でした。
マラッカ周辺海域の安全航行の確保は、海運界のみならずわが国経済にとって極めて重要であり、長年にわたって日本財団の絶大なご理解ご協力を得て、必要な安全対策が講じられてきたところでありますが、最近この海域に海賊事件が頻発し、憂慮しているところです。これらの対応に当たってはますます関係国の緻密な連携協力が求められる状況となっていると存じます。
ところで、わが国周辺海域においては依然として海難事故が多発しておりますし、海洋汚染事故についても、全体的には減少傾向にあるものの、油による汚染が過半数を占めていて、その大半が船舶からの排出となっていることに変わりがありません。
日本海で沈没し大量の重油を流出したナホトカ号油流出事故、東京湾で乗揚げ、原油を流出したダイヤモンドグレース号の事故は、海難防止と海洋汚染防止に大きな課題を投げかけた事故として記憶に新しいところであります。
近年は、国際的に地球規模での環境保全が叫ばれており、地球の七割を占める海洋の浄化能力が注目されているところです。いささかでも機能不全におとしいれることがないよう海洋汚染防止に努める必要があります。
本協会としましては、海難防止および海洋汚染防止に向けて船舶交通等の安全確保、海洋環境の保全を図るため、積極的に調査研究に取組んで参ります。
さらに、海難と海洋汚染防止活動については官民一体となってこれを全国的に展開し、効果的な啓発運動として進めて参ります。
海難は巨億の船も積荷も一瞬にして海底の藻屑となり、また、大切な人の命まで奪い去ってしまいます。ちょっとした不注意が板子一枚下は地獄という悲惨な結果をもたらすのです。
年頭に当たり、今一度海難の非情残酷さに思いをいたしご安航をお祈りするとともに併せて関係業界、関係の皆様方のご支援とご協力をお願い申し上げ新年のご挨拶といたします。