この期間に度々試験が実施され、オイルフェンスの性能のみならず、燃焼を許容する条件や燃焼効率をも実証した。
最近のテストではその関心は燃焼過程や生成物に移ってきたが、これらもまた使用オイルフェンスの性能にも触れているので記述する。
(1) Dome Petroleumの燃焼試験
Dome Petroleumのオイルフェンスのテストはこの数年間に数回行われ、このオイルフェンスは市販用に製作されたとは思われないが、このデータは燃焼性能とその結果を記述しているので重要である。
1980年12月に、Port Mellon、British Columbiaの近くで、2〜3mmの厚みの油膜が2時間燃焼された。全部で1,545l(402ガロン)が燃焼されて、燃焼効率99.87%、油膜の液面燃焼速度は2.3mm/minで燃焼を続けた。燃焼残渣の比重は0.933g/ccで、燃焼後採取した水には炭化水素は残っていなかった。記録された最大温度は905℃(1,660°F)で、980℃(1,796°F)という設計温度より遥かに低い温度であった。煙の柱が約30m(100フィート)立ち上がり、2〜3km(1〜2マイル)風下で消滅した。
このオイルフェンスは、火災後も構造的に無傷であることが判明した。板金部分の一部がわずかに曲がり、その露出表面には堅いアスファルト質の残滓が残っていた。これを除けばすぐにでも使用可能と思われた。
1981年に、DomeオイルフェンスはOHMSETTのタンクで試験された。すべての波浪状態で優れた安定性を示し、最大0.4m/s(0.75ノット)までの曳航速度で効果的に油を捕捉できた。静水中では、燃焼は最大1m/s(ノット)までの曳航速度では影響を受けなかったが、もし油量がもっと大きかったら、燃焼はオイルフェンス下部からの洩油で影響を受けたであろう。
波のうねりに対しては、燃焼強度は曳航速度が0.5m/s(1ノット)に達するまでは影響を受けなかった。この時点で、燃焼強度は急激に減退した。波のうねりの高さが大きくなるにつれて燃焼残渣が増大した。“harborchop”(急激に風の方向が変化して起こる短周期)の波形の水域で、火災はゆっくりと広がり、燃焼は不完全であった。
砕け散る波が火災を消し、油膜の全表面に着火しなかった。
油の燃焼容量は、2,000m2(半径25m又は83フィート)のオイルフェンスで囲まれた面積内で一日あたり6,600km3(41,514バレル)と計算された。
(2) Exxon Valdez号洩油事故に際しての現場燃焼テスト
Exxon Valdez号の座礁事故後の二日目の夕方、137m(450フィート)の3Mの耐火オイルフェンスを使用して、57〜114km3(15,000〜30,000ガロン)のNorth Slope原油を集油し、燃焼させた。(3Mが開発したこの耐火オイルフェンスは現在American Marineのライセンスで製作市販されている。)
この時には、二隻の漁船が152mのロープを使用し、オイルフェンスを約0.8ノットの速度で曳航した。開口幅は約30〜40mで、これにより開口比は約0.25となる。
この流出油の集油過程は油膜約0.3〜1mm、パッチ2〜3mmの状況で約半時間続いた。
(編集者註:最低3mmの油の集積が燃焼に必要であることは一般に認められているが、油の種類、暴露または乳化状態、環境条件で変わりうる。)油の出会い速度は約1kl/min.と推定された。