II-3-3 事故現場における油分散剤の簡易試験法
油分散剤を使用するに当たっては、油分散剤と処理する油との相性を事故現場で調査する必要がある。この相性を調査ずるための簡易試験法を考案することとし、以下の検討を行って、「油分散剤の有効性の簡易試験法」を確立した。
1 前提条件
(1) 簡易試験法は油分散剤と処理する油との相性を調査し、流出油の事故現場で使用する分散剤を決定することを前提としている。このため、簡易試験法に用いる測定容器類は可能な限りコンパクトで簡単、単純、安価な器材によるものとし、耐久性にも十分配慮することとした。
(2) 使用する測定容器、油及び油分散剤を添加する器具等を再度使用した場合、これら器具等に残留した油または油分散剤が次の性能結果に大きな影響を及ぼすおそれがあるため、器具等は使い捨てを原則とした。
(3) 最小のトレーニングで実行可能な簡単な試験であること。
(4) 信頼性も許容可能な範囲で再現性が高いこと。
2 簡易試験法の手順と検討事項の抽出
事故現場での油分散剤の添加方式はいわば別々添加であり、この手順を踏まえ、図3-3-1の「簡易試験法の手順図」を作成し、その手順ごとに検討事項を抽出した。
(1) 流出油及び海水の採取
現場において流出油及び流出油付近の海水を採取することとなるが、採取方法は現場側の措置とした。
(2) 海水量等
測定容器に予め設定した目盛りまで採取した海水を満たすこととし、測定容器の容量・形状、海水量等について検討した。
(3) 流出油の滴下等
油は測定容器の海水面に滴下し、油の滴下方法及び滴下量について検討した。
(4) 分散剤の添加等
油分散剤は測定容器の油面に添加することとし、油分散剤の濠加方法及び流加量について検討した。
(5) 振とう及び静置
測定容器の蓋を閉め、振とう後に静置することとし、振とう方法及び静置方法について検討した。
(6) 相性の評価
静置後の流出油と各油分散剤との相性の評価方法について検討した。