本試験法では、この弊害を極力避けることとして、2)項目の海水量550mlの最下層から100mlを採取することとした。
このため、他の試験法と比べかなり厳しい評価となっている。
9) 試験温度(粘度に関して)
舶査第52号の試験油は、JIS K2283に規定する重油のうち2種(B重油)に適合するものとあり、試験温度は20℃±1℃の条件で行うこととある。
本試験法の試験油は、最近の流出油事故の実態を考慮して、中高粘度油を対象として約3,000cSt.3種1号のC重油と決定した。
このため、使用する試験油は、粘度-温度の関係を調べ3,000CStとなる温度を求めて、この温度の±1℃を試験時の環境温度とすることとした。
10) 油分散剤と試験油の調合方法
粘度3,000cStの試験油と油分散剤との試験油調合の調査では、手かく拌及びペンシルミキサーともほぼ同等の分散性能結果が得られたが、個人差の少ない定量的に明示できるペンシルミキサー方式を採用することとした。
混合油の調合方法は、油30gに油分散剤1.2gを加えてペンシルミキサー(無負荷7,000rpm)を用いて、円周混合5秒間、8の字混合5秒間、上下左右を交互に5秒間を9回順次繰り返してかく拌時間を計3分間とした。
詳細については、参考資料Vを参照されたい。
11) 油分抽出試薬
各試験法の油分抽出試薬は、塩化メチレン(CH2Cl2)、クロロホルム(CHCl3)及び四塩化炭素(CCl4)が用いられていることから、各試薬について測定波長と油分濃度の関係を調査した結果、各試薬の油分抽出のための吸光度特性にほとんど差異がないことが分ったが、このうち、四塩化炭素は、フロンエタン全廃条約により1995年で製造中止となったことから、試薬自体の有害性が低い、塩化メチレンを採用することとした。
(4) まとめ
以上、油分散剤の性能評価に影響を及ぼす各因子について、また、因子を組み合わせて実験、観察、調査の試行を行いつつ、自己かく拌型油分散剤の試験方法として開発した試験方法は、MDPC法と呼称することが本委員会で了承された。このMDPC法の試験項目、試験方法及び判定基準を纏め、表3-2-1に示す。
表中の判定基準欄については、運輸省令第33条の2の規定及び舶査第52号に準じているが、分散率の判定基準のうち静置開始30秒後については、本試験法では計測を行わないことから削除した。
なお、MDPC法の一連の操作・試験手順等を参考資料VIに纏めた。