(3) 試験法の諸元及び試験方法
(2)項目で抽出した因子についての調査研究により、MDPC法の諸元を次のとおり決定した。
なお、本試験法を確立した経緯として、調査、問題点、検討事項等を纏めて参考資料IVに再録し、今後、改良する際の資料とすることとした。
1) かく拌法
本かく拌法は水面上の予め混合油を波力でかく拌し分散させる方法とするが、油塊を強制的に水中に引込む例えばラボファイナ法等のように回転を与えずに、かく拌力は小さなエネルギーとし、実海域の状況に似た状態にすることとした。
その結果、大きさの異なる3種類の容器を用いて、波傾斜(風力階級3以下)と波面の挙動を中心に調査を実施し、振幅40mm、振とう回数35往復/分による横揺れ振どう法とした。
2) かく拌時間
各試験法のかく拌時間は、最も短いラボファイナ法(英)が2分、最も長いNFT90-345法(仏)が60分である。
このかく拌時間の長短の差は、エネルギーの大きさに加え、界面活性剤及び溶剤の組合せによる分散性能の油と水界面の表面張力の大きさ(表面張力が小さい程分散性に高い)の違いによるものと推察される。
分散性能を高めるには、エーテル型の界面活性剤が油の分散に優れているが毒性が高い欠点があり、現在はエステル型の界面活性剤が主流である。我が国では、有害性(毒性)の基準が高いことなどから、外国製の分散剤はこの基準値をクリアーしていないことから、かく拌時間は、1)項目のかく拌エネルギーが小さいことも含めて多少長い時間について実験研究をした。
その結果、採用した容量、海水量の関係からかく拌時間30分の時点で、分散率がほぼ一定の割合で増加する領域から顕著な増加が認められなくなる領域に移行する様子を伺うことかでき、かく拌時間を30分とした。
3) 海水量
界面活性剤が多い場合、分液ロート内の海水中には、界面活性剤が分子またはイオンの形で溶解している。
この分子量等が多くなると分子またはイオンが集合体としてミセルを形成し、分散性能に影響を及ぼすことになる。また、海水量が少ないと、油粒子はクリーミング(浮上現象)、凝集、合一の現象が起こり易いことが挙げられる。
本試験法では、極力これらの現象等を受けにくくするため、他の試験法と比べ海水量が多い550mlとした。