500cStの場合、3種類の供試体ともに、20%以上の散布率で90%以上のゲル化性能を示した。また、ゲル化しない残油のふるいへの付着は見られなかった。
3,000cStの場合、試験油を海水上層に拡散させ、粉末ゲル化剤は散布せずに、安定した状態となった後に、予め沈めておいたふるいを水面より高い位置まで持ち上げ、30分間静置したところ、約66%のC重油がふるいに付着し、1,000cStの場合は約58%のC重油がふるいに付着したことから、表3-1-3の3,000CSt測定値は測定不能とした。
4 まとめ
(1) 試験方法
試験結果から、試験油の粘度が500cStの場合は、ふるいにより試験油等を持ち上げると、ゲル化しない残油は、静置開始の直後ではふるいの網目を通過しないものの、その後静置を続けると、やがてふるいの網目を通過して、容器に入り込む状況が観察された。
試験油の粘度が3,000cStの場合は、油が網目に付着して多少の油がふるいに残ることから、ゲル化していない油として抽出される油分の量が実際の値より低くなり、その分ゲル化率が高い値を示す結果となる。
このことから、本試験方法は、500cSt程度の粘度の油に対する判定は可能であるが、1,000cStを超える油のゲル化率を求める試験法として適さないことが分かった。
(2) ゲル化性能
試験結果から、500cStの試験油に対し粉末油ゲル化剤を20%以上散布した場合では、いずれの供試体でも90%以上のゲル化率を示した。
これは、海査第635号に定めるゲル化率の判定基準である90%以上を満足するものであり、粉末油ゲル化剤が500cStまでの粘度の油に対しては有効なゲル化性能を示すことが分った。