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第5章 おわりに

 

1. 土砂災害に対する本システムの有効性

本システムが実際の土砂災害に対して有効であることは、昨年度の報告書で鹿児島県出水市、福島県西郷村で発生した土砂災害に対して検証済みです。そのため、本年度においては実際の土砂災害への適用・検証は特には行っていません。ただし、間接的ですが、本システムの有効性を証明する材料は今年度においても得られています。

第4章では、システム表示画面を例示しましたが、それらの画面では、平成11年6月1日〜8月31日の3ヶ月間に宮崎県下で実際に観測された雨量を使用しています。観測ポイントの「役場A」は宮崎県南部平野部の観測ポイント、同じく「役場B」は宮崎県北部山沿いの観測ポイントです。表示画面例の図4.2では、8月6日に「役場B」の危険度レベルは「6」に到達しています。観測期間中最も土砂災害の危険度が高まった時期ですが、関係者の話では、この時間帯に土砂崩壊(被害なし)が発生しているとのことです。

 

2. 今後の課題

(1) 豪雨時の総合的な危機管理システムとしての拡張

昨年度から2ヵ年にわたり雨量データに基づいた土砂災害の危険予測システムを開発してきましたが、防災関係者の豪雨時の関心は土砂災害のみにとどまらず、河川氾濫や道路冠水にも及んでいます。そのため、これらの水防要素が総合的に把握されれば、限られた防災要員の配置・活動が効果的に行えます。

本システムは、ハードウェア・ソフトウエアともに雨量以外の気象要素及び水位・流量といった地表流の要素を処理する機能を内包しており、「土砂災害危険予測」機能と組み合わせることにより、豪雨時の総合的な危機管理が可能となります。

(2) 図上訓練機能の強化

今回開発した「再現シミュレーション」機能に、訓練シナリオのデータベース化・創生機能、図上訓練の進行管理機能及び訓練効果の評価機能等を追加することにより、その機能を拡張することが考えられます。その結果、より実践的な図上訓練が可能になると思われます。

 

 

 

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