火災
九谷の里で養豚場全焼
能美郡広域事務組合消防本部(石川)
はじめに
当消防本部は、石川県南西部の手取川扇状地に位置し、根上松を町名の由来とする根上町、九谷の里として陶芸の盛んな寺井町、先端科学技術大学院大学やいしかわ動物園等丘陵地の開発が進む辰口町、「手取の火祭り」と銘打ち県内最大規模の花火大会を行っている川北町の四町をもって構成されている。
白山を源とし管内を東西に流れる手取川は、有史以来たびたび大洪水を引きおこし能美平野を濁流で呑み込んできた。明治以来の砂防工事・ダム建設・堤防改修等により、現在では大洪水の恐怖は薄らいでいるが、住民の防災意識は今なお高い。平成九年一月に発生したロシアタンカー「ナホトカ」号の遭難により、管内唯一の根上海岸一帯に重油が漂着し、約三ケ月に及ぶ回収作業に取り組んだ。
消防の体制は、平成二年四月に一部事務組合として、四町の消防団常備部を廃止し広域化されたもので、管内面積九八・六一km2、人口約四万九千人、一本部・一署・三分署に職員六三名が防災の任にあたっている。
ここで紹介する事例は、短時間のうちに千三〇〇頭以上もの豚が焼け死んだ建物火災である。
一 火災の概要
(一) 出火日時 平成一一年七月二五日(日)
午前四時一〇分頃
(二) 発生場所 石川県能美郡寺井町字秋常
(三) 時間経過 覚 知 四時三八分
現場到着 四時四四分
二次出場 四時四三分
鎮 圧 五時一三分
鎮 火 五時二二分
(四) 気象状況 天候曇り、風向南、風速一m
気温二六℃、湿度七八%
(五) 被害状況 全 焼 三棟
焼損面積 一、一〇〇・二六m2
焼損頭数 一、三六九頭
焼損額 三四、〇六九千円
(六) 出火原因 生後間もない仔豚保温用のガスストーブが床面の麻袋に着火し延焼拡大したもの。
二 出場状況
出動車両 指令車等 二台
タンク車 四台