ワンポイント
消防職員のための法令用語解説
地方分権推進計画 (七)
八 地方公共団体に対する国又は都道府県の関与等のあり方(承前)
ケ 基準の設定
(ア) 自治事務に係る基準
自治事務に係る基準(法令に基づいて処理されるもの)のうち、必要なものは、法律又はこれに基づく政令、省令、告示に定める
(イ) 法定受託事務に係る基準
a 大臣は、都道府県の処理する法定受託事務について、処理基準を定めることができる。
b 知事は、市町村の処理する法定受託事務について、処理基準を定めることができる。
c 大臣は、知事に対し、bの処理基準を定めるよう指示をすることができる。
d 大臣は、緊急を要するときその他特に必要と認めるときは、市町村の処理する法定受託事務について、処理基準を定めることができる。
e 処理基準は、その目的を達成するための必要かつ最小限度のものでなければならない。
自治事務に関しては、従来通達によって、処理基準を定めている場合があったが、これからは、法令によって処理基準を定めることにしている。
これに対して、法定受託事務に関しては、処理基準について、法令によらなくてはならないことになっていない。
法定受託事務に関しての、大臣又は都道府県の指示に関しても、前に説明したとおり、認められており、これに対して、自治事務に関しては、特定の場合以外は、国又は都道府県の指示に従わなければならないことのないようにしなければならないことになっている。
このように、自治事務と法定受託事務との間においては、国等の関与の大きな違いがある。自治事務を多くして、地方公共団体の独自性、創造性を発揮する行政が行われるようにすることが、地方自治の進展の上で、望ましいといえる。
コ 国の直接執行
自治事務に関し、国民の利益を保護する緊急の必要がある場合には、国は、法律の定めるところにより、直接事務を行うことができる。
これは、緊急性のある場合だけである。
(二) 地方公共団体に対する国又は都道府県の関与等の手続
関与手続に関しては、行政運営に関する公正の確保と透明性の向上に資するものでなければならない。
助言等に関しては、書面の交付を求められたときは、行政機関は、それを交付しなければならない。
協議は、誠実に行い、相当の期間内に調うよう努めなければならない。同意等については、行政機関は、基準を定め、行政上特別の支障があるときを除き、公表しなければならない。
全国消防長会
顧問弁護士 木下健治