五月二七日、仙台市の「仙台サンプラザホール」において、第二二回全国消防職員意見発表が行われた。全国九支部から厳しい審査を経て選ばれた一〇人が、それぞれの職務の体験をもとに、消防防災に関する決意・抱負・提案等の積極的な意見を発表した。
会場では、消防関係者など約一、〇〇〇人が各発表者の熱のこもった意見発表に真剣に耳を傾けていた。
審査は、発表内容・意見性・発表力の項目について、総合的に行われた。
審査の結果、最優秀賞には「ひらがなの文字盤」を発表した東北支部代表(郡山地方広域消防組合消防本部)の矢浪崇さんが選ばれ、優秀賞には「私の言葉が見えますか?」を発表した近畿支部代表(姫路市消防局)の田中宏和さんと「処置拡大の必要性について」を発表した関東支部代表(千葉市消防局)の石田悦美さんがそれぞれ選ばれた。
最後に審査委員長の野田一夫宮城大学学長は、「すべての方が実際に優劣はつかなかった。そういう意味では私自身が驚いただけでなく、審査員一同がそれぞれの方の持っている表現力だけでなく、自らの知識経験からきた見識、これに大変深く感動したことを審査員一同を代表いたしましてお伝えしたいと思います。同時にここにお集まりの方々、おそらく消防関係の方々、今の日本は非常に精神的にも社会的にも荒廃しておりますが、かろうじて我が国の社会の秩序を維持しているのはここにお集まりの消防関係の方々のおかげじゃないかという気持ちを今日改めて強く感じているところであります。」と講評を述べられた。
ここに最優秀賞、優秀賞に輝いた三人の発表内容を紹介します。
審査員(順不同、敬省略)
野田一夫(宮城大学学長)
佐藤宏(株式会社河北新報社論説副委員長)
小松弥生(仙台市教育長)
馬場功介(青森地域広域消防事務組合消防本部消防長)
小畑光美(大津市消防局長)
杉本静夫(松山市消防局長)
最優秀賞
東北支部代表 矢浪崇
「ひらがらなの文字盤」
「かわいそうではありません。話しかけて下さい。」
今もこの言葉が、私の心に残っています。
それは、コンビニでの出来事でした。誰かが、私のズボンを引っ張るのです。振り返ってみると、小学校五・六年生ぐらいの女の子と、車椅子に乗った小さな男の子が、私の顔をじっと見ていました。
「なに。」つい不機嫌そうに声をかけたので、女の子は小さな声で
「お願いがあります。弟をバスに乗せて下さい。」