ごあいさつ
本日ここに第27回全日本空手道選手権大会がかくも盛大に開催されますことを心からお祝い申し上げます。
本大会も27回と回を重ねるごとにますます発展し、多くの優秀な選手を育て、輝かしい実績と伝統を築いておりますことは誠に喜ばしい限りです。
今は空手道は老若男女を問わず、"いつでも、いつまでも"できるスポーツとして広く国民に親しまれ、"生涯スポーツ"として、また"健全な青少年の教育"の一環としても社会的にも大きな評価を得る程に普及、発展しております。また国外におきましても空手道は世界の隅々にまで普及し、世界空手道連盟(WKF)に加盟する国は実に164ヶ国にも及んでいます。去る6月、国際オリンピック委員会(IOC)においてWKFがIOCの公認団体として正式に承認されました。これは近い将来、空手道のオリンピック参加への道が大きく開けたということであり、我々空手道関係者にとって大きな喜びであります。そういうことからも空手道の伝統国である日本の役割と責任はますます重くなっております。
近年空手道は競技スポーツとして国内外を問わずその技術は向上し、競技内容も熾烈化しております。競技意欲の向上を図ることは大変よいことではありますが、それが為に空手道の基本である"礼節"が失われてはなりません。近時国内の大会においてもややもすれば迫熱のあまり礼を失する競技態度を見受けることがあります。このようなことは厳に戒め、是正しなければなりません。空手道がいかに発展し、国際化しようとも武道性を失ってはなりません。
今後とも私達は空手道を通じて更に大きく社会に貢献し、来る21世紀に"心豊かな社会"を築こうではありませんか。
どうか本日出場される選手の皆さんは、この空手道の基本である"礼節"を忘れることなく、素晴しい試合をして観客の皆さんに感動を与えてもらいたいと思います。
選手の皆さんのご健闘をお祈りいたします。
終りに本大会の開催にあたりご尽力いただいた関係各位に対し深甚なる感謝の意を表しますとともに、ご来場の皆様のますますのご健康とご発展を祈念申し上げ私の挨拶といたします。
財団法人 全日本空手道連盟
会長 笹川堯