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(3) 国境通過

 

1]鉄道

鉄道輸送においては、フィンランド側には国境通関は存在しない。保税輸送手続が終了した貨物は編成駅に送られ、ロシア側に輸送される。

特にフィンランド国鉄とロシア国鉄の間、フィンランド側のRail Waybillでロシア国内を輸送できるような取決めになっているのが大きな特徴といえる(EUはCIM条約が適用され、ロシアはSMGS条約が適用されるのであるから、原則論でいえば、ハンブルグ、ロッテルダム→モスクワの輸送のようにRail Waybillは書き換られてしかるべきである)。

しかし、軌道幅がフィンランドとロシアが一緒であるにもかかわらず、相互乗り入れをしていないといったマイナス側面も存在する。

 

2]自動車

自動車の場合は、鉄道と異なり国境での書類チェックが必要である。

両国の間には10キロメートルほどの両国緩衝地帯があり、出国の税関チェックを終了しても入国の税関チェックを受けなければならないので、二重のチェックが必要である。税関ではドライバーのパスポートチェックと貨物の書類チェックが行われることになるが、書類チェックで問題となるケースの多くはカルネとインボイスの不一致である。

現地のドライバーによるとロシア側の審査の方が厳しいとのことであり、フィンランド側と同程度あるいはそれ以上の所要時間を要することになる。したがって、フィンランド側で3時間の待ち時間があった場合には、合計で6時間以上の待ち時間が必要となることになり、国境通過に要する時間はきわめて長時間化することになる。

国境税関は双方とも乗用自動車、バス、貨物自動車用に分かれており、乗用自動車は複数のレーンが用意されているものの、貨物自動車用は1レーンが用意されているに過ぎず、貨物輸送車両の国境通過に要する時間は乗用自動車の比ではない。クリスマス等の時期においては、2日以上といった所要時間を要することもあり、ドライバーは車のなかでひたすら待機を余儀なくされる。ただし、近年は携帯電話を所持しているドライバーも多く状況把握が可能になっている。

また、フィンランド側の国境はインターネットにより混雑状況を2〜3時間の単位で更新・発信しており、主に撮影している部分は乗用自動車のレーンであるという欠点はあるものの状況を把握する助けとなっている。

 

 

 

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