II. ロシア編
II-1. ロシアヘのアクセス
A. 対象ルート
日本発貨物のロシア西部(モスクワを想定)へのアクセスを考える場合、
ア. 欧州向け海上輸送ルート経由
イ. シベリア鉄道経由
が考えられる。
現状ではア.の方法が主流となっており、ハンブルグやロッテルダム等の欧州メインポートに陸揚げされ、そこからロシア西部への移送には
a. 陸路(自動車、鉄道)で直接輸送される方法 と
b. ロシアの隣接国であるフィンランドまでフィーダー輸送後、保税状態でストックし、そこからマーケットニーズに応じて再輸送される方法
が存在している。
このうち、a.の方法は、東欧の通関制度がEU規則に準じたことにより利便性が高まったのは事実であるが、大勢としてはいまだb.の方法が多く選択されている。その理由は、フィンランドにはロシアの貿易を巡る制度上の複雑な問題に対応するための経験・ノウハウが豊富にあることによる。
イ.のシベリア鉄道利用は1980年代こそ盛んに利用されていたものの、現在では最盛期の10分の1程度に過ぎない。近年はロシア側からのセールスも盛んになっているが、日本側の反応はかんばしいものとはなっていない。しかし、「橋本・エリツィン」合意にもとづき、シベリア鉄道の利用を再活性化させようとする方向も模索されている。
そこで、ロシアヘのアクセスに関しては、
・ハンブルグ、ロッテルダムから直接陸上輸送する方法
・ハンブルグ、ロッテルダムでトランシップし、フィンランド経由で輸送する方法
・シベリア鉄道経由で輸送する方法
の3つの方法について、現地調査等による最新事情を加味し、輸送手続きや国境通過等を比較検討することとする。