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3. 質疑応答

 

吉原 どうもありがとうございました。それではさっそく竹中先生にコメントをしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

竹中 竹中です。貴重な機会を与えていただいてどうもありがとうございます。見渡しましたところ、今日は日本の知的サークルを代表するそうそうたる方々がお見えですから、私はぜひ手短にコメントをして、皆さんのディスカッションをプロボーグしたいというふうに思います。

今のファンダーバークさんのお話は大変論旨明快で、非常に知的刺激を与えてくれました。印象深かった点が特に2点ありました。第1は、アメリカにおける政策のメインストリームは一体どこにあるのかということをはっきりと示してくれたということです。議会の重要さ、それと議会の多数を制している、かつ州においても多数を制している共和党の力の存在、改めてそれを感じたような気がいたします。

第2点は、同時にその共和党がずっと進めてきた小さな政府を中心とした経済思想、これは新保守主義と呼んでいいかもしれませんが、そういった経済思想が今の経済社会においていかに重要であるかということ、また、それに基づくアメリカの成功、アメリカの経済政策の成功について、改めて非常に強く感じた次第です。

さて、それを前提にして議論をプロボークするために4点ばかり、手短にコメントしたいと思います。まず第1のポイントです。アメリカは小さな政府、透明な政府、自助努力、そういった新保守主義的な考え方を前面に出して経済の活性化を果たしたと私は思います。問題はこういったシステムがサステイナブルかどうかということです。これに関するコメントをぜひファンダーバークさんからお伺いしたい。これは例えばポール・クルーグマンも盛んにいろんな形で議論していますが、アメリカのやり方というのは確かに経済的なサステナビリティを回復した。しかし、一方でいわゆる貧富の差の拡大、特に中間層の没落、そういった形で社会的なサステナビリティに疑問を投げかけているのではないだろうかという問題があると思います。

最近非常に高い株価に支えられて、特に中間所得層がキャピタルゲインを得ているということもあり、アメリカの経済は非常に好循環が続いていますが、株価にショックが1つ起こった場合にアメリカはどうなるのだろうかという不安は、実は世界中の人が同時に抱えている問題でもあります。その意味での貧富の差の拡大や中間層の没落という問題を中心として、社会的なサステナビリティをどのように考えているか。

 

 

 

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