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あまりうまく説明できませんが、要するに、実態を正確に把握して、そして合理的計算をして再建できるのかどうかをみる。つまり、これ以上どれぐらいあと追い貸し、あるいは支援をしないとこの企業は立ち直れないのか。例えば、支援をしてもっと低利でお金を貸しても、10年経ってもだめなのかどうかというところを、細かく計算しなければならない。もしだめだということになったらば、例えば、分割売却するとか、もう少しドラスティックなリストラをしなければいけないと思うのです。法律も改正して、破産法をより実践的な内容に改正してやっていかなければならないと思います。

あまりそちらのほうに詳しくないのでこれ以上のコメントは避けますが、とりあえずケース・バイ・ケースとしか言いようがないと思います。ただし、なんでもかんでも債務を株式化せよとか、債権放棄して日本の産業界を助けようとかいう考え方は非常に危険だと思います。

そうなったらもう銀行は全部国有化して、すべて銀行に負担を押し付けて、それでどんなに効率的であろうが、非効率的であろうが全部を助けるという社会に、まさに共産社会みたいにさせるのであればいいと思いますが、政府の目的がもう少し効率的な日本社会をということを小渕さんも約束してきましたから、そうだとすると、合理的な評価をしてからでないとだめじゃないかと思います。

それから、銀行だけが悪いわけではないというのは、私もそうだと思います。私の発言はさきほども言いましたが、アナリストの立場で言っているのです。しかし、はっきり言って国民人ひとりの認識のところから始まると思うので、その点から言うと、おっしゃるとおり四半世紀かかっても変わらないかなとさえ思います。とにかく"悪い好況"というのは早くなんとかしなければいけないわけですが、皆さん一人ひとりの認識が必要なのではないでしょうか。誰一人としてどうしたらいいと言えないというか、言ったとしても実行できない社会がそこにあるので、これはやはり頼みの綱というのはずるいですが、やはりまたマーケットなんですね。

投資家が利益を確定するには、200円だったA銀行の株をそのときに買って、今870円で売る必要があるわけです。売るという行動が出てくるかもしれないですね。それ以上もっと持っていようというためには、銀行が社会のインフラとともに何か改革をして変わっていかないと、恐らくもっと持っていようなんてことにはならないと思うので、そのあたりはマーケットのプレッシャーというところに期待せざるを得ないのではないかなと思っています。

 

 

 

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