日本財団 図書館


●高齢者の自立促進

まず「高齢者の自立促進」については、施設ケアの比重が高く、また要介護度の大きい高齢者にサービスが偏重しがちな現状を改め、リハビリや予防面でのサービスに力を入れることが強調されている。この対策としてすでに「パートナーシップ補助金(Partnership Grants:6.47億ポンド)」「予防対策補助金(Prevention Grant:1億ポンド)」「介護者補助金(Carers Grant:1.4億ポンド)」の3つの助成プログラムが、1999年度に揃って導入されている(いずれも1999-2001年までの3年間)。「パートナーシップ補助金」は福祉と医療の連携をすすめ、リハビリ活動を強化して不必要な入院を避けたり、退院時の介護や緊急時の対応策を改善するための予算措置である。「予防対策補助金」は介護判定から漏れた人を対象に、転倒の防止、栄養改善、孤独への対応、補助防具や住宅改造といった予防策を施し、不必要な入院や施設入居を防止することが目的とされている。「介護者補助金」は高齢者の自立を支える介護者を支援するための予算措置で、これについては下の「介護者への支援」のところで改めて触れている。また自立化策の一環として、必要な介護サービスを現金給付の形で受けとることが2000年2月から可能になった33)34)。ただし、地方自治体に申請することが必要で、現金給付をどの程度まで広げるかは自治体の裁量に任されている。

 

●全国的なサービス基準の設定

「サービスの一貫性の向上」はサービスの地域間格差をなくし、また全体的な質的向上を図ることが目的で、そのための全国基準や指標が政府によって設定されている。その代表となるのが「全国サービスフレームワーク(National Service Frame-work:NSF)」と呼ばれる基準で、特定のサービス分野や利用者グループを対象に、年に1つのペースで作成されている。これまでに「精神障害者」や「心臓病患者」についてのNSFが用意されており、現在は高齢者サービス向けのNSFが準備されている(2000年春に導入予定)。NSFの中には全国基準とともに目ざすべきサービスのあり方(モデル)や実践スケジュールなども規定されており、すべての自治体が同じスピードでサービス向上できるように仕組まれている。NSFは利用者や介護者、NPO、医療および福祉の専門職などとの協議を経て作成されており、その現場での適用でも、さまざまな関係者が責任を共有しあい、全国基準の達成を目ざして協力することとされている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION