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しかし戦争が終わるとフランスにもベビーブームが訪れ、戦後35年間に、1946年の総人口の3分の1にも相当する出産超過があった。このような人口の増加は、社会保障制度(1945年創設)の家族手当や住宅手当などの直接給付が家族に与えられたこと、子どもを養育するための間接的な優遇が与えられたことによって助長されたといえよう。フランスのベビーブームは他の先進国に比べて長めであった。1946年から1967年にかけての合計特殊出生率は2.6以上である。

 

【出産率の低下】

女性の社会進出が目立つようになった1960年代から、再びフランスの出生率は低下した。1967年に避妊法が認可され、1975年には妊娠中絶が自由化されたために、産児制限は容易になった。合計特殊出生率は1972年から2.0を下回り、1993年と1994年には1.65にまで低下した。しかしその後、合計特殊出生率は上昇し、現在では1.75となっている(1998年)。この合計特殊出生率は、ヨーロッパ連合加盟諸国の平均(数年前から1.45程度で安定している)を上回る数値である。

出産年齢は、1970年代には下降傾向にあったが、1980年代からは上昇し続けており、現在では平均29.2歳となっている(1997年)。最近では就学期間が長くなり、若者には深刻な就職難の問題もあるために、新家庭の形成時期が遅くなり、第1子の出産年齢は高くなり続けている。

30歳未満の女性の出産率が低下しているのに比例して、30歳以上の出産率が高くなった。今世紀初頭から減少していた40歳以上の高齢出産数も、最近になって上昇してきている。出生児総数に占める40歳以上の母親が出産した赤ん坊の割合(1950年までは5%以上)は1%にまで低下したが、1995年には1972年の水準であった2.5%まで上がった。40歳-44歳の母親から生まれた子どもが第1子である割合も、1985年から1989年には15%と高くなっている(1920年までは4%から6%であった)。

 

【非婚カップルの増加】

初婚年齢は高くなってきている。平均初婚年齢は、1985年には24.2歳であったが、1996年には27.5歳となっている。ただし初婚年齢に男女差があることには変化がなく、男性の平均は29歳であるのに対して、女性は27歳である。

婚姻数は1972年にピークを記録してから減少している2)。離婚数は1960年代半ばから増加傾向にあり、1995年からは離婚成立件数はその年の結婚数の39%に相当する数値になっている。人口1000人に対する婚姻率は、1972年には8.1‰であったが、1993年から1995年にかけては4.4‰となった。しかし現在では欧州連合加盟諸国の平均(1996年に5.1‰)に近づいている。

 

 

 

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