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表3 台湾将来人口構造予測

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資料:行政院経済建設委員会「台湾地区人口推計」、1996年中推計。

 

現在、台湾の人口構造は、生産年齢人口の割合が約70%と極めて大きく、この人口ボーナス期間は高齢化社会といわれる期間とほぼ一致する。したがって、経済的に有利といわれているこの時期に、21世紀には避けられない高齢社会への対応対策等の社会づくりが図られなければならない。

台湾人口の高齢化の推移の課程は日本や韓国と同様に、人口の都市化に伴う、若年人口の都市集中により、農村部で高齢化が進んだが、その後現在では高齢化が次第に都市部へと拡がりはじめている。現在の高齢化状況を地域別に見ると、「郷」(農村地域)の高齢人口の割合が最も高く、「鎮」(地方市町)がこれに次ぎ、「市」(都市)が最も低い。これを男女別で見た場合、女性の地域差(市と郷鎮の差)が男性のそれよりも大幅にあることが注目される。1970年「市」と「郷」の差は0.77%(男女合計)であったが、1995年に差額が1.92%に拡大した。男女別に見た場合、男性のこの差は0.68%から僅か0.88%に拡大したにすぎないが、女性のこの差は0.85%から2.96%に大幅に拡大した。これは、高齢の女性が農村に取り残された結果であり、男性の場合は戦後中国から台湾に移住した人口(主に官吏と軍隊)の多くが都市とくに台北市に居住しているためである。こうした台湾の高齢人口の特異性から現在、台北市等都市における男性人口の高齢化を速めてもいる。都市でも高雄市(第2の直轄市)の高齢化速度は非常に遅く、1995年でも5.75%と相対的に低く、台北市の8.22%と対照的である。この地域別の人口高齢化の推移状況を図に表すと、図3に示すように、台北市の高齢化速度が特に速いことが目立っている。

高齢人口の地域別分布状態を見ると、表5に示す様に、都市人口の増加に伴って、「市」に居住する高齢者の人口の割合が大幅に増加した。1970年、「市」に居住する高齢者は29.0%であったが、1995年には50.2%と高齢者の半数余りが「市」に居住している。都市人口は1970年から1995年の25年間に136%増加したが、高齢人口はこの期間に563%も増加している。「郷」に居住する高齢人口は、この期間192%しか増加していない。この傾向は、都市の高齢者問題を深刻化しているところである。

 

 

 

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