海外視察は参考になりましたね。ドイツでは世話人協会という一種の人材バンクに登録している退職者や篤志家などが、身寄りのないお年寄りの後見人となってお世話していましたし、カナダのオンタリオ州では任意後見と法定後見の二通りを用意して、どちらでも選択できるように制度化されていた。こうした活動の成果をまとめたものが「成年後見大綱」で、ここに盛られた具体的な提案は法務省の法制審でも大いに参考にされ、法律の一部に採り入れられているものと思います。
たった数人ではじめた取り組みが、「ケアポート埼玉」などの具体的な活動となり、そこから全国に仲間を広げ、会員が三千人になったところで一九九九年秋、センターの設立にこぎ着けました。
新制度の一番の特徴は、本人があらかじめ後見人を選べる任意後見制度が導入されたことと伺いましたが、そうなると、いかに信頼できる後見人を選ぶかがポイントですね。
その通りです。この点がまさに任意後見制度の課題でもあるんです。得てして一人暮らしのお年寄りの所には、親切を装って怪しい人が寄ってくる。そんな人を「自己決定」して後見人に選べば大変なことになるし、息子や娘がいても海外に居住しているなどの理由で後見人に頼めない人や、子供はいても世話になりたくないという人も現実には多いんです。
そこでわれわれのセンターでは、適当な後見人がいない人に対する後見人の推せんと指導、監督を主な活動にしています。