「西伯あいのわ銀行」でボランティアをする藤田和子さんと小林栄子さんは百人委員会のメンバーだ。
内容はおよそ三六項目に及び、お年寄りの話し相手や遊び相手をしたりして三級以上のヘルパーを補佐する「四、五級ヘルパー」創設など行政では思い付かない新鮮な提案が盛り込まれていた。また1]ショートステイの増床、2]自立老人向け福祉アパート建設、3]「介護SOS」を受ける住民の相談係、4]介護者がストレスを解消するための交流の場づくり―など「介護保険の問題点のすべてが住民によって明らかにされた」(山野さん)。
百人委員会の委員に聞くと「若い人にボランティア活動の大切さをわかってもらえた」「介護保険の給付対象から漏れる自立老人対策について認識を深めることができた」「町に゛あいのわ銀行"という有償ボランティア組織があることを周知できた」などと答え、行政への住民参加のきっかけをもたらしたようである。「提言が実現してみなければ評価できない」という慎重な委員もいたが、市原会長は「提言を具体化する過程にも参加していきたい」と意欲的。町も百人委員会のメンバーを介護保険事業計画策定委員会に受け入れる。
三町村と広域連合を結成する
地方自治を推進する両輪のもう一つは広域連合である。広域連合とは複数の地方自治体が共通の仕事を一緒に実施するためにつくる自治体の組合。坂本町長は近隣の会見町、岸本町、日吉津村に呼びかけ、九九年七月一九日、「南部箕蚊屋(なんぶみのかや)広域連合」を設置、連合長に選ばれた。全国で四七番目のこの広域連合は九月一日、介護保険サービス事業者を指定する権限を鳥取県から委任された。「介護保険の権限委任を受けた広域連合としては全国で初めて。ここだけです」と坂本町長は胸を張る。