巻頭言
ふれあい社会へ、みんなの知恵を
さわやか福祉財団理事長 堀田力 No.28
登別の特定非営利活動法人「いぶりたすけ愛」代表の星川光子さんから、「私たちは、地域にふれあい社会をつくりたいと思って団体をつくりがんばってるのに、どうして私たちの活動とは別に『近隣型ふれあい活動』を進めるのですか」と聞かれた。
「どちらも最終の目標は新しいふれあい社会の実現だけど、それを実現するための手法が違うんです。
そして、手法はいくつもあった方がよい。そして、人により、地域によって、もっとも合う手法が選べるようにしたいのです」と答えた。
たとえば、まだ人と人とのつながりの濃い農村部などでは、市民団体をつくることには強い抵抗があるが、近隣型のふれあい活動の働きかけには素直に応じられるというところが多い。また、人と人とのつながりのほとんどない都市部でも、市民団体に加入して活動するまでの気持ちはないが、ちょっとした助け合いはあった方がいいと思っている人が少なくない。
だから、社協さんや農協さんも「ふれあいいきいきサロン」とか「助けあい組織」と名付けて近隣型ふれあい活動を推進しておられるのだと思うし、私たちも、それらの運動と連携して活動を進めたいと願っている。
しかし、この活動のむずかしいところは、進め方の型が定まっていないことである。団体をつくって活動するやり方だと、リーダーの発掘や団体の新設運営についてやり方の型があり、マニュアルがあるのであるが、近隣型ふれあい活動については、今のところ、事例集は作れても、マニュアルは作れない。そのせいもあって、社協さんや農協さんの活動も、われわれの活動も、もうひとつ手応えが感じにくいのである。
そこで、財団の組織づくり支援グループを中心に議論した結果、出てきたアイディアが、「助けられたいのに助けを求められない人を発掘する」という方法である。
これまでは、助ける人をどう増やすかという方策を考えてきた。しかし、団体をつくらずに助ける人を掘り出しても、どういう形で助け合いの運動をしていいのかわからないだろう。